はじめに
高級腕時計を長く愛用するためには日々のケアとともに、定期的なオーバーホールや日頃の扱い方にも気を配ることが欠かせません。
機械式時計であれば数年に一度のオーバーホールで時計の寿命を長期的に保つことができます。
とはいえ「オーバーホールとは実際に何をするの?」「どのくらいの頻度で必要なの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
一方で、時計の寿命を左右するのは内部のメンテナンスだけではありません。
たとえ防水仕様のモデルであっても日常生活の中では水濡れを避け、急激な温度変化や湿気にも気をつけることが大切です。
また、スマートフォンやパソコンなどの磁気を発する機器の近くには置いておかないこと、落下や強い衝撃も避け、風通しの良い安定した場所に保管することも大切なポイントです。
この記事では、時計を美しく保つために欠かせないオーバーホールの基本と、日常のセルフメンテナンスのポイントについてもご紹介します。
オーバーホールって?基本を知ろう
「オーバーホール」とは、時計のムーブメントを完全に分解し、各部品の洗浄・点検・修理・注油を行ない、再度組立てるメンテナンス作業のことをいいます。
時計内部は数百もの精密な部品で構成されていて、長時間使用することによるオイルの劣化や部品の消耗などは動作不良の原因になります。
これを防ぐために、3~4年に1度のオーバーホールで内部をリフレッシュすることが推奨されています。
※オーバーホールと修理の違い
修理は故障した部分のみを直す作業ですが、オーバーホールは故障を未然に防ぐための予防的なメンテナンスです。
オーバーホールの流れ

オーバーホールは、時計修理の専門家によって以下のステップで丁寧に行われます。
1. 分解と部品チェック
ケースを開けてムーブメントを取り出し、文字盤や針を外し、パーツ単位にまで分解します。
非常に小さな部品も多く、慎重な作業が求められます。
2. 洗浄と乾燥
分解したパーツを専用の超音波洗浄機で丁寧に洗い、古くなったオイルや微細な汚れを徹底的に除去。
その後、十分に乾燥させます。
3. 修理・注油・調整
摩耗した部品を交換しながら組立て直し、メーカー指定のオイルを注油。
時間のズレ(歩度)を専用の機器で調整し、高い精度を確保します。
4. 組み立てと最終検査
分解・洗浄を終えたムーブメントに文字盤や針を取り付け、ケースに戻します。
防水機能がある場合は専用機器で気密性テストを実施。
すべての機能が正常に作動するかを最終チェックしてオーバーホールの完了です。
クオーツ式時計にもオーバーホールは必要?
電池で動くクオーツ式時計は、オーバーホール不要と思われがちですが、それは誤りです。
電子回路は約10年が寿命とされていて、歯車部分には潤滑油が使用されています。
オイルの劣化で歯車が固まり、電池の消耗が早くなったり精度が落ちることもあるため、適切なメンテナンスが必要です。
手頃な価格のクオーツ式時計であれば、電池交換や修理をするよりも買い替えた方が合理的なこともありますが、特別な一本の場合は、適切なメンテナンスを施しながら長く愛用したいですね。
日常のセルフメンテナンスで時計を長く美しく

オーバーホールの効果を高めるためには、日常的なケアも大切です。
理想的なケアを行った場合、機械式時計なら50年以上、クオーツ式時計でも10年以上使用することも可能です。しかし実際には、お手入れ不足が原因で寿命を縮めてしまうケースも少なくありません。
大切な時計と長く付き合うためには、数年に一度のプロによるオーバーホールに加えて、日常的なセルフメンテナンスも欠かせません。
着用後には柔らかい布で皮脂やホコリをやさしく拭き取る。
使用後は、皮脂やホコリを優しく拭き取ることで、腐食や汚れを防ぎ、美観と精度を保つために効果的。小さな習慣が、時計の寿命を大きく左右します。
磁気に注意する
スマホやパソコンなど磁気を発する機器の近くには置かないようにしましょう。
磁気は機械式時計のヒゲゼンマイやクオーツモーターに悪影響を及ぼします。
水仕事の際には時計を外す
防水仕様でもパッキンの劣化や浸水リスクがあるため、水に触れる前には必ず外す習慣をつけましょう。特に、革ベルトや非防水の時計は要注意です。
定期的な防水検査もおすすめ
防水機能の維持には、専門家の検査も必要です。
長く愛用するためには、定期的に検査を受けることも大切なポイントです。
まとめ
時計の寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスは欠かせません。
機械式時計であれば丁寧なケアを行うことで50年以上、クオーツ式時計でも10年以上使い続けることが可能です。
特に高級時計や思い出の詰まった一本は、その価値と魅力を長く保つためにも数年に一度のオーバーホールは大切。
日常の使用では、磁気や水濡れへの配慮、着用後のやさしい拭き取りといった小さな習慣が、時計を〝一生モノ〟として使い続けるカギになります。
今回ご紹介したポイントを参考に、大切な時計をいつまでも快適にお使いいただけたら幸いです。
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