目次
はじめに
皆さんは、サルバトール・ダリの代表作に登場する歪んだ時計の謎をご存知ですか?
ぐにゃぐにゃに歪んだ時計は、何を意味しているのでしょうか。
また、カルティエの歪んだ時計、超人気クラッシュと何か関係があるのでしょうか。
今回はダリの時計の謎と、カルティエのクラッシュに迫ってみたいと思います。
ダリについて
ピンと上に向かったヒゲがトレードマークのダリ(出典Wikipedia)
サルバトール・ダリは1904年にスペインで生まれ、シュルレアリズムの代表的な作家として知られています。印象派やキュビズムに影響を受けつつ独自の芸術を追求するためシュルレアリズムの道を進み、個性的で象徴的であり、夢幻的な風景や奇妙な形象、非現実的なシーンなどを特徴とした作品を生み出しました。
また、ダリは絵画だけでなく彫刻やオブジェなど様々な作品を残し、多くのメディアからも注目を集めました。象に乗って凱旋門を訪れるなど奇抜なパフォーマンスでも有名です。
(出典Wikipedia)
彼の創造性と独特なスタイルは、芸術界において大きな影響力を持ち、後世のアーティストに多大なインスピレーションを与えました。
ダリは1989年に亡くなりましたが、彼の芸術作品は今でも世界中で高く評価され、多くの人々に愛されています。
記憶の固執The Persistence of Memory(1931)
ダリが27歳の時に描いた代表作「記憶の固執」は、やわらかく歪んだ時計が象徴的な要素として描かれており、時間や記憶の不確かさを表現しています。またこの作品で、中央に描かれている謎の物体はダリの自画像と考えられており、ヒエロニムス・ボッシュの「楽園の園」に登場するモチーフのオマージュとも言われています。海岸は故郷スペイン、カタルーニャのカダケスにあるクレウス岬です。
(出典Wikipedia)
時計はなぜ歪んでいる?
柔らかくゆがんだ時計は止まって蟻やハエが群がっており、死を象徴しています。ダリは非常に繊細で人一倍コンプレックスが強く、死に対する恐怖や関心も強かったようです。
歪んだ形は溶けたカマンベールチーズを模したとも言われており、硬さと柔らかさの対比になっています。
食への異常なこだわりがありチーズ、パン、エビ、卵など硬いものの中に柔らかな中身が詰まった食べ物が好物で、弱い自分を守ってくれる鎧を必要としていたことの表れともいわれています。
時計が歪んでいるのは、ダリの見慣れた風景に自身の死の自画像を描き、時計によって死の象徴を表現し、硬さと柔らかさの対比を表現していたためだったんですね。
(出典Wikipedia)
ほかにも彫刻など様々な作品にやわらかく歪んだ時計のモチーフがでてきます。死を象徴しているのに、溶けたチーズから発想したからか、ちょっと可愛いフォルムです。
インテリア雑貨にも
現代ではダリの柔らかく歪んだ時計は、置時計や腕時計になり販売されています。部屋に飾ればインパクト抜群のアクセントになりそうですね。
個人的にはダリが考案した植物がモチーフの「柔らかく歪んだカトラリー」がとっても素敵で好きなので、気になる人は要チェックです。
さて、ダリのチーズが溶けた形の時計は、カルティエのゆがんだ時計・クラッシュウォッチを彷彿させますが、はたして関係はあるのでしょうか?
カルティエ クラッシュ ウォッチ
(出典cartier公式)
カルティエの歪んだ時計(クラッシュウォッチ)は、カルティエコレクションの中でも芸術的名作と言われています。
1960年代にロンドンである顧客が、事故で変形した時計を修理してほしいとジャック・カルティエに依頼がありました。一目みるやいなや、デザインにしてしまったという説があります。
その後1991年から数年かけて300本限定で販売。
1991年以降は少量のみの限定モデルとしてリリースされています。
2013年に発売された世界限定267本のクラッシュは、ブリリアントカット・ダイヤモンドを150個も敷き詰めたケースに、ティアドロップ型のホワイトゴールドのリンクが並ぶブレスレットで、最も華やかなバリエーションとなっています。
2015年のクラッシュ・スケルトン・ウォッチは世界でわずか67本のみの限定生産。
ダイヤルとムーブメントが一体になったデザインで、裏からも面からも楽しめる類稀なるタイムピースとなっています。
2018年の世界限定50本の稀少モデルは、ひとつひとつのモデルに個別番号が入っていて、既存モデルの歪んだ形をデフォルメし新たなモデルとして登場しています。
ヴィンテージ市場では2億円!?
現在は販売していませんが、ヴィンテージ市場ではコレクターから非常に注目されており、オンラインオークションサイトで1967年製のカルティエ ロンドン クラッシュがオークションにて最も高額な150万338ドル(1億9590万円!)で落札されています。
サザビーズで1970年製カルティエ ロンドン クラッシュが80万6500スイスフラン(9550万円)で落札された金額を大きく上回り、史上最高額を更新しました(2022年5月時点)。
まとめ
結論としては、カルティエとダリ、同時代の時計ですが関係はありませんでした。
しかし影響は少なくないと思われ、ダリの発想力にインスパイアを求めるのでしょうか、カニエウエストやタイラー・ザ・クリエイターも着用するなど、アーティストに非常に人気のモデルです。
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