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世界三大時計 VACHERON CONSTANTIN(ヴァシュロン・コンスタンタン)

世界三大時計とは
時計業界には数多くのブランドがありますが、その中で「世界三大時計」といわれるブランドがあります。
「オーデマ・ピゲ」「パテック・フィリップ」「ヴァシュロン・コンスタンタン」、いずれも時計産業の本場であるスイスの名門ブランドです。
長い伝統と歴史を持ち、王侯貴族から愛されてきた実績と、職人による卓越した技術力が世界的に認められています。
製作される超高級時計は、価格や品格、ステータスなど他のブランドとは別格視されており、“雲の上の存在”という意味で「雲上ブランド」「雲上時計」とも呼ばれています。
今回は世界三大時計のひとつ、ヴァシュロン・コンスタンタンについてご紹介します。
ブランドの歴史
1755年、スイスのジュネーブで、24歳で熟練の時計職人であったジャン=マルク・ヴァシュロンが時計工房を創業しました。当時の時計業界は王族・貴族向けの特注品、高級懐中時計の製作が主流でした。
世界三大時計の中では一番早い創業(1839年パテック・フィリップ創業、1875年オーデマ・ピゲ創業)になります。
1785年に息子アブラアム、1810年には孫息子のジャック・バルテルミー・ヴァシュロンが工房を引き継ぎます。
1819年、ビジネスマンのフランソワ・コンスタンタンを共同経営者として迎え「ヴァシュロン&コンスタンタン」という社名になり、世界中に新しい市場を開拓します。
1970年に社名の「&」が省略されヴァシュロン・コンスタンタンとなり、1996年にはリシュモングループ(※1)傘下に加わりました。
二度の世界大戦やクォーツショック(※2)などで消滅・休業する老舗ブランドもあった中、創業から265年以上もの間、一度も歴史が途絶えたことがないため世界最古のブランドとしても知られています。
長年の時計愛好家の方には「バセロン・コンスタンチン」という呼び名になじみがあるかもしれませんが、現在、日本ではフランス語読みの「ヴァシュロン・コンスタンタン」に統一されています。
(※1)ジュネーブを本拠地とする企業グループ。時計やジュエリー、ファッションブランドの世界的に有名な高級ブランドを傘下にしている。
(※2)1970年代に安価で精度の高いクォーツ(電池式)時計が大量生産されるようになり、従来の機械式時計が衰退の危機に陥った。
ブランドロゴ「マルタ十字」

「マルタ十字(マルタクロス)」は、ヨハネ騎士団(※1)が使用していた紋章で、時計の部品のデザインが似ていたことからブランドシンボルとなり、1880年に商標登録されました。
くさび形(V字形)を4つ組み合わせたマルタ十字は、突き出た8つの角それぞれが“敬虔さ““勇敢さ“など8つの騎士道精神を表しています。
初期から現在まで様々なモデルの時計に、文字盤ロゴのほか、リューズやバックル、パーツの細部にマルタ十字のデザインが取り入れられ、ブランドの象徴になっています。
(※1)中世の三大宗教騎士団のひとつ。16世紀にマルタ島に移り「マルタ騎士団」と称し、現在はローマで存続。
複雑時計(コンプリケーションウォッチ)
時計用語では「時計の中に高度な技術が組み込まれている」ものを、複雑時計=コンプリケーション(コンプリケーションウォッチ)と呼びます。
「世界三大複雑機構」である、
【永久(パーペチュアル)カレンダー】4年に一度のうるう年も自動調節できるカレンダー機構
【トゥールビヨン】重力の影響によって生じる時計の誤差を補正・調節する機構
【ミニッツリピーター】音で時刻を知らせる機構
が有名ですが、
【スプリットセコンド・クロノグラフ】複数のラップタイム計測ができるストップウォッチ機能
【パワーリザーブ・インジケーター】時計内部のゼンマイの巻き上げる力を外からでも見えるようにした機構
【レトログラード】時計の針が盤面を一周するのではなく、扇型の上を反復する機構
【ムーンフェイズ】月の満ち欠けを表示する機構
なども複雑機構といわれます。
複雑時計は、高い技術を持つ一部の時計ブランドや時計職人にしか製造ができないことから、ひとつでも機構が組み込まれていると価格が上がります。
複数の複雑機構を搭載している時計は「グランドコンプリケーション」と呼ばれ、数百万~数千万円と非常に高額となり、量産が不可能なため希少性も価値も高くなります。
世界最高峰の品質と技術
最初期から技術面でも高い評価を受けてきたブランドですが、現在も最高の品質と技術を維持していることを証明するのが次の2つです。
(1)ジュネーブシール
「ジュネーブシール」はジュネーブ州が制定する規格で、ムーブメントの精度(=時刻の正確性)を認定するスイス品質テストの最高峰にあたります。
一流メーカーが認定を受けるスイス公認クロノメーター規格(※1)より、さらに限定的で、
・すべての部品の製造・組立がジュネーブ州内で行われる
・機械式ムーブメントの精度、部品や素材、仕上げ・装飾などの細かい規定
など、1週間にわたる厳しい検査基準のクリアが必要です。
ジュネーブシールの取得を続けていることが最高品質の証となっています。
(※1)スイス公認クロノメーター検定協会(COSC)が規定するムーブメントの精度の規格。
(2)マニュファクチュール
「マニュファクチュール」とは、高級機械式時計のムーブメントの製造から組立・仕上げまでを一貫して自社で行うブランドを指します。
機械式ムーブメント、複雑機構や独自デザインのほか、内部機構の小さな部品の組立・装飾などの職人技術が世界中から高く評価されています。
高度な技術力の現れとして、スケルトン(※2)モデルの時計も数多く製作されており、本来ケースの内側に隠れている複雑機構やムーブメントなどの機械美を目にすることができます。
(※2)スケルトン…文字盤や裏ぶたが透明になっている仕様で、表、裏(「シースルーバック」「裏スケルトン(裏スケ)」とも呼ばれる)、両面スケルトンなどがある。
ブランドの時計の特徴
精密な複雑時計、美しい宝飾時計、機能的な腕時計、実用品としても美術工芸品としても魅力が多いのがブランドの時計の特徴です。
複雑時計は初期から製作され、1935年のエジプト王に贈られた懐中時計『グランドコンプリケーション』をはじめ歴史的なモデルを発表してきました。
近年では、2015年に創業260年記念の懐中時計『リファレンス57260』、2017年に機械式手巻き腕時計『キャビノティエ・セレスティア・アストロノミカル・グランド・コンプリケーション 3600』と、数十もの複雑機構を搭載したグランドコンプリケーション2点の製作が有名です。
また、宝飾時計(ジュエリーウォッチ)では、1981年にイギリスのチャールズ皇太子と結婚するダイアナ妃のため『レディ・キャラ』の特別モデルを製作したことで知られています。
現行の腕時計シリーズも充実しており、スポーツウォッチからドレスウォッチまで、複雑機構搭載モデルを含む幅広いラインナップを展開しています。
伝統や歴史の重みを感じる時計は「王道」「正統派」「クラシック」などと表され、カジュアル・ビジネス・フォーマルと多くの方々に愛用されています。
代表的なモデル
オーヴァーシーズ
ブランドの中で最も人気があるのが、1996年に誕生したスポーツモデル『オーヴァーシーズ』で、1977年(創業222周年)に発表されたステンレスモデル『222』が原型です。
スポーツテイストながらシンプルで、マルタ十字をかたどった凸凹のあるベゼルがシリーズの特徴です。
1999年のクロノグラフ登場など幾度かモデルチェンジがあり、バリエーションも豊富で、モデルによってデザインが異なります。
近年のラグジュアリースポーツウォッチ(高級ブランドが手がけるスポーツモデル。通称:ラグスポ)人気もあって注目されています。
パトリモニー
2005年(創業250周年)に発表された『パトリモニー』は、エレガンスなドレスウォッチの王道です。
1957年発表のドレスウォッチが元になっており、フォーマルの正統派2針のほか、3針モデルもあります。装飾を極限まで省いたミニマルなデザイン、スリムなラウンドケースの美しい曲線が特徴です。
伝統的な技術とクラシックなデザインを合わせ持ち、時代や流行に左右されないブランドの定番コレクションです。
フィフティーシックス
2018年に発表された『フィフティーシックス』は、1956年に発表されたモデル『リファレンス 6073』をモチーフにしたことが名前の由来です。
ケースのラグ部分にマルタ十字の4枝がアレンジされているのが特徴です。
オリジナルモデルが自動巻きであったことから、現在も全てのモデルに自動巻きを採用しています。
レトロでモダンなデザインの時計に、最新の機能が搭載されたシリーズです。
時計という資産

ヴァシュロン・コンスタンタンの腕時計はベーシックな機械式時計が多く、最も低価格な『フィフティーシックス』の新品でも定価100万円以上と、元々が高額ではありますが、年数が経過しても価値が失われにくい特徴があります。
メンテナンスによって長く使い続けることが可能なため、一生ものの時計としてご自身で所有する方、親から子・孫へ代々「資産」として受け継ぐ方など様々です。
時計愛好家やコレクターの間では新品よりもアンティークの方が人気で、中古市場では価値が1000万~1億にまで上ることもあります。
また、投資家や時計の目利きの方からは「腕時計投資」としても関心を集めています。
まとめ
今回ご紹介したのは一部のモデルですが、歴代名作を復活させた『ヒストリーク』、ブランドロゴの名を持つ『マルタ』などのシリーズもあり、伝統が受け継がれています。
一方で2020年にはレディース新コレクション『エジェリー』を発表するなど、新たな時計製作にも意欲的です。
最高級の雲上ブランドのヴィンテージから新作まで、お好みの時計を探してみてはいかがでしょうか。
時計修理の近江屋では高級時計、アンティーク時計、ヴィンテージ時計の他、掛け時計など腕時計を中心に幅広く時計修理を承っております。
高級時計の王道である「ロレックス」や「ロレックスのアンティーク時計」も数多く修理してきた実績も抱えております。
その他、カルティエ、オメガ、タグホイヤー、エルメス、IWC、ヴァシュロン・コンスタンタン、ジャガールクルト、ダンヒル、パネライ、ピアジェ、ボーム&メルシェ、ロジェ・デュブイ、ウブロ、ゼニス、グラスヒュッテ、ジャケ・ドロー、ティソ、ハミルトン、ブランパン、ブレゲ、ラドー、ロンジン、ショパール、ハリーウィンストンなど、長年培ってきた技術で、どんな古い時計でも、どんなブランドでも修理を承ります。
部品がない、部品が生産されていないなど、アンティークやヴィンテージなどの古い時計の修理もお任せ下さい。
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