1860年創業のアヴァンギャルドなスイスブランド タグ・ホイヤー
タグ・ホイヤーは創業から160年以上にわたり既成の概念や常識を覆し、限界に絶え間なく挑戦しています。
クロノグラフの人気モデル「カレラ」「モナコ」はモータースポーツからインスピレーションを得て誕生しました。
「手の届く贅沢」をブランド戦略とし、時計愛好家の憧れのトゥールビヨン搭載モデルを200万円以下から展開しています。
歴史
創業者エドワード・ホイヤーは1860年に20歳でスイスのサンティミエに自身の時計工房を設立しました。
1867年にビエンヌに会社を移転し、1869年には懐中時計のぜんまいをリューズによって巻き上げる機構で初の特許を取得しました。
1862年にスイスのアドルフ・ニコルによってクロノグラフ(ストップウォッチ機能付きの時計 ギリシャ語の「時間“chronos”」と「書く“graph”」の造語)が開発されると、多くの時計メーカーがクロノグラフ懐中時計の製造を始めるようになります。
ホイヤーもクロノグラフの製造に力を入れ、1887年には時計部分からストップウォッチ部分に駆動力を伝える機構「スイングピニオン」を開発します。
従来の「キャリングアーム」機構より部品点数が少ないこの機構により、クロノグラフの量産化と低価格化が実現しました。
エドワード・ホイヤー亡き後、社長に就任した息子チャールズ・ホイヤーはストップウォッチの精度を上げることに取り組み、1916年世界で初めて1/100秒の計測が可能なストップウォッチ「マイクログラフ」を開発しました。
これによりホイヤーは1920年アントワープオリンピック、1924年パリオリンピック、1928年アムステルダムオリンピックの公式時計となります。
1958年創業者の曾孫ジャック・ホイヤーが社長に就任するとクロノグラフ腕時計、ストップウォッチ、ダッシュボード計器に経営資源を集中し、モータースポーツと深く関わっていくことになります。
そしてモータースポーツからインスピレーションを得て1964年に「カレラ」、1969年には「モナコ」という人気モデルが誕生しました。
しかし1970年代のクオーツショックにより資金難に陥ったホイヤーは1982年にピアジェに買収され、ジャック・ホイヤーは社長を退任し創業者一族による経営も終わりました。
1985年にはサウジアラビアのTAGグループに売却され、社名を「TAG Heuer(タグ・ホイヤー)」に変更、ロゴマークも上半分にサウジアラビア国旗の緑で「TAG」、下半分にスイス国旗の赤で「HEUER」というデザインとなります。
1999年からはファッション業界の最大手企業体LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン )のグループ企業となっています。
特徴
手の届く贅沢
70年代のクォーツショックにより再編された時計業界では巨大グループ間の対立が激しくなり、2002年にはスォッチグループがETA社製ムーブメントのグループ外への供給を2010年までに停止すると発表します。
当時スイスの機械式時計メーカーのほとんどがETA社製ムーブメントをカスタマイズして自社製ムーブメントを製造していたため大混乱となりました(ETA2010年問題)。
これを転機として各社がムーブメントの自社開発に力を入れ、ムーブメントの開発・製造までを自社で行う「マニュファクチュール」であることが高級機械式時計ブランドの付加価値となります。
タグ・ホイヤーは2010年に創業150周年を記念して自社製ムーブメント「キャリバー1887」を発表しましたが、その開発はセイコーから買い取った6S系ムーブメントの設計をもとに行われました。
「手の届く贅沢」をブランド戦略とするタグ・ホイヤーは、マニュファクチュールにこだわらず、実績のある他社の設計や汎用ムーブメントを利用することでムーブメントの開発費を抑え、高性能・高品質の製品を低価格で提供しています。
人気モデルでもクォーツムーブメントで20万円程、汎用ムーブメントで30万円程、自社製ムーブメントで70万円程という幅広い選択肢が用意されています。
ブランドアンバサダー
他のブランドに比べて低価格なタグ・ホイヤーですが、アンバサダー(大使)を起用した巧みな広告戦略によりブランドイメージを高めています。
タグ・ホイヤーの購入層である20代・30代が憧れるスターたちをアンバサダーとして広告に起用することによって、彼らのイメージをブランドイメージに反映させることに成功しているのです。
その代表が“史上最高のF1ドライバー”とも称されるアイルトン・セナ(1960年~1994年)です。
タグ・ホイヤーは1991年にセナをアンバサダーに起用し「Don’t Crack Under Pressure(プレッシャーに負けるな)」をキャッチフレーズとするキャンペーンを展開、1/1000秒が勝敗を分けるF1の世界で戦うセナの姿がタグ・ホイヤーのブランドイメージとして強烈に印象付けられました。
日本人では2012年にテニスの錦織圭選手、2016年にサッカーの香川真司選手、2021年にテニスの大坂なおみ選手がタグ・ホイヤーのアンバサダーに起用されています。
トゥールビヨン
腕時計界には“世界三大複雑機構”と称されるものがあります。
月ごとの日数の違いや閏年の調整を自動的に行う「パーペチュアルカレンダー」、時刻をチャイム音で知ることができる「ミニッツリピーター」、そして調速脱進機全体を回転させる「トゥールビヨン」です。
これらの機構を採用するムーブメントは技術レベルが非常に高いメーカーでしか製造できず希少で高価です。
トゥールビヨンは1801年に天才時計師アブラアム・ルイ・ブレゲによって発明された機構です。
ポケットの中で長時間直立した状態となる懐中時計では、重力の影響で調速機の振動が左右でアンバランスとなり精度が低下します。
そこで調速機を回転させることで重力の影響を平均化し精度を保ちます。
この機構を腕時計に搭載する試みもありましたが、姿勢変化が多い腕時計では効果が少なく普及することはありませんでした。
ところが1983年にブルゲがトゥールビヨンを「美しい動きを見せるため」の機構として腕時計に搭載すると、時計愛好家の間で評判となり各社も開発を進めるようになります。
2016年タグ・ホイヤーはクロノメーター認証を受けたトゥールビヨン搭載クロノグラフ「カレラ キャリバー ホイヤー02T』を約170万円で発売して業界を震撼させました。
それまで1000万円以上したトゥールビヨン搭載腕時計の価格を破壊したのです。
現行モデルでもトゥールビヨン搭載のカレラが定価1,991,000円(税込)から販売されています。
人気モデル
カレラ(Carrera)
ホイヤーの4代目社長、創業者の曾孫のジャック・ホイヤーはモータースポーツの熱狂的ファンでした。1950年から1954年まで行われたメキシコをアメリカとの国境からグアテマラ国境まで縦断する公道レース「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」にインスパイアされ、1963年にプロドライバー用のクロノグラフとして「カレラ」を発表しました。
1971年ホイヤーはフェラーリF1チームのスポンサーになり、ドライバー全員に18Kゴールドのカレラを贈りました。
マリオ・アンドレッティ、ニキ・ラウダ、ジル・ヴィルヌーヴといった名ドライバーがホイヤーのクロノグラフを着用したことで、ホイヤーはモータースポーツファンに広く知られることになりました。
2011年には世界150本限定で「ホイヤー カレラ マイクログラフ 1/100th クロノグラフ」を発表します。
時計用とクロノグラフ用の2つの駆動系を持ち、クロノグラフ用の調速脱進機は毎時360,000振動することで1/100秒の計測を実現しました。
現行モデルはクォーツムーブメントのレディースモデルが220,000円~、汎用ムーブメントのメンズモデルが297,000円~、自社製ムーブメントのメンズモデルが632,500円~(税込定価)と幅広いラインナップを展開しています。
モナコ(Monaco)
「モナコ」はF1モナコグランプリにインスピレーションを得て1969年に発表されました。
搭載された世界初の自動巻きクロノグラフのムーブメント「キャリバー11」は「ブライトリング」「ハミルトン」「ホイヤー」とモーブメントメーカー「デュボア・デプラ」が協力して開発したものです。
参加した各社から自動巻きクロノグラフが発表されましたが、ホイヤーが発表したモナコは、スクエア型のケースとブルーの文字盤に9時位置のリューズという斬新なデザインでした。
あえて右手で操作しづらい位置にリューズを配置することで自動巻きであることをアピールしたのです。
クロノグラフとしてはあまりにも斬新であったモナコの売り上げは当初低迷しましたが、アメリカの名優スティーブ・マックイーンがカーレーサー役を演じた映画『栄光のル・マン』(1971年公開)でモナコを着用したことで知名度が飛躍的に上がりました。
クォーツショックの影響で1978年に生産中止となりましたが、1998年に5000本限定で復刻、2002年にレギュラーモデルとなり現在ではタグ・ホイヤーを代表するモデルとなっています。
現行モデルはクォーツムーブメントのレディースモデルが253,000円~、自社製ムーブメントのメンズモデルが726,000円~(税込定価)と11モデルを展開しています。ほとんどの現行モデルでは使い勝手を考慮してリューズは3時位置に配置されています。
近江屋では76年培ってきた技術でタグ・ホイヤーの修理を承っております。
分解掃除料金はクォーツ24,000円~、手巻き・自動巻き35,000円~、クロノグラフ46,000円~(部品代別途)です。
時計修理の近江屋では高級時計、アンティーク時計、ヴィンテージ時計の他、掛け時計など腕時計を中心に幅広く時計修理を承っております。
高級時計の王道である「ロレックス」や「ロレックスのアンティーク時計」も数多く修理してきた実績も抱えております。
その他、カルティエ、オメガ、タグホイヤー、エルメス、IWC、ヴァシュロン・コンスタンタン、ジャガールクルト、ダンヒル、パネライ、ピアジェ、ボーム&メルシェ、ロジェ・デュブイ、ウブロ、ゼニス、グラスヒュッテ、ジャケ・ドロー、ティソ、ハミルトン、ブランパン、ブレゲ、ラドー、ロンジン、ショパール、ハリーウィンストンなど、長年培ってきた技術で、どんな古い時計でも、どんなブランドでも修理を承ります。
部品がない、部品が生産されていないなど、アンティークやヴィンテージなどの古い時計の修理もお任せ下さい。
名古屋市昭和区にある時計修理サロンの他、百貨店事業部として百貨店様の時計修理コーナーでも高級ブランドの時計修理も承っております。
名古屋で信頼できる時計修理のお店をお探しの方は、ぜひ近江屋までお気軽にご相談ください。