愛用時計を水から守る〝防水性能の見極め方と水没した時の対処法〟

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はじめに

「ゲリラ豪雨で濡れてしまった」「洗濯機にうっかり入れてしまった」「海で落とした」など、〝時計の水没トラブル〟は誰にでも起こり得る身近な問題です。
精密な機構を備えた腕時計にとって、水の侵入はムーブメントのサビや回路の腐食といった致命的な故障につながります。

特に、高級時計の場合その損害は計り知れません。
今回は、防水性能の正しい理解から、万が一水に濡れたときの応急処置と避けるべきNG行動、そして日常でできる予防策をご紹介します。

時計は意外と水に弱い?防水でも油断は禁物

一見、丈夫に見える腕時計も水には非常に繊細な精密機器です。
特に非防水モデルや、パッキンが劣化した状態では水が内部に侵入するリスクが高まります。
たとえ防水時計であっても、水圧が一時的に強くかかる状況(シャワーやスイミングなど)では、設計上の耐水性能を越えてしまう可能性があります。

また、ヴィンテージウォッチや長年メンテナンスをしていない時計は、内部パッキンの劣化も進んでいるため、防水性能があったとしても安心できません。
内部に水が侵入すると、電池の腐食やムーブメントのサビといった故障の原因になりますので要注意です。

防水性能のレベルを知ろう

ダイバーズウォッチ イラスト

時計の文字盤や裏蓋に「WATER RESIST」や「W.R.」の表記がある場合、その時計には一定の防水性能が備わっています。
本格的にダイビングに対応するモデルには「DIVER’S ○○m」などの表記があり、これはISO 6425規格に基づいたダイバーズウォッチであることを示します。
時計の防水性能は通常「気圧(ATMまたはBAR)」や「メートル(m)」で表記されており、これらは静水圧に対して耐えられる目安を示しています。

非防水…防水性能なし

水濡れNG。手洗いや小雨でも故障のリスクがありますので日常使いでも注意しましょう。

日常生活防水…2~3気圧(20~30m)防水(弱い水濡れ程度であれば耐性あり)

2~3気圧は、日常生活における汗や小雨程度の水濡れです。
勢いよく出した水や洗い物の水圧に耐えることはできません。

強化日常生活防水…5~20気圧(50~200m)防水(水仕事やアウトドアにも対応)

洗い物などの水仕事などに耐えることができます。
10気圧(100m)防水であれば川遊びやプールでの使用ができます。
20気圧(200m)防水になると、シュノーケリングやサーフィンなどの水上スポーツで身に着けることができます。

潜水用防水…100~1,000m(主にダイビングなどの仕様)

ダイバーズウォッチといわれる時計。
潜水用防水にも100m~200m程度の潜水に耐えられる「空気潜水用防水」と、200m~1,000m程度の深海潜水に耐えられる「飽和潜水用防水」があります。

空気潜水用防水(~200m)…スキューバダイビングなどの空気ボンベを使用した浅めの海で使用できます。

飽和潜水用防水(200m以上)…ヘリウムガス対策などが施され、深海へのダイビングにも対応できます。

Point!

「100m防水」などの表示は「動きのない水中に静かに沈めた場合の耐圧性能(静水圧)」に基づいて設計されています。
泳いだり飛び込んだりすると一瞬で何倍もの圧力がかかるため、実際の使用環境では表示通りの防水性能が発揮されない場合があります。
防水性能を過信せず、使用前には取扱説明書などで対応範囲を確認することが大切です。

時計が水に濡れたときの応急処置~3ステップ~

万が一、時計に水がかかった場合、素早く以下の対応を取りましょう。

① 表面の水分をすぐに拭き取る
乾いた柔らかい布で優しく拭きます。ティッシュでは繊維が残るため、メガネ拭きのようなマイクロファイバークロスがおすすめ。

② リューズやボタンには絶対に触れない
水分が内部に引き込まれるリスクがあります。リューズの引き出しやプッシュ操作は厳禁です。

③ 通気性のよい場所で自然乾燥
湿気を飛ばすため、風通しの良い日陰で数時間乾かすのがベストです。直射日光やドライヤーは避けましょう。

「時計内部に浸水したかも?」そのサインと対応方法

水が浸入して曇った時計

時計のガラス面が曇っている、文字盤に水滴がつく、針の動きが遅くなる・止まる場合、内部に水が入っている可能性が高いです。

「対応方法」
・乾燥剤と一緒にチャック付きポリ袋(フリーザーバッグ)などに時計を保管する
・できるだけ早く時計修理専門店に持ち込む

※時間が経つとサビが進行し、修理費用も高くなります。早めの対応が最重要です。

やってはいけない!NG行動

×ドライヤーで乾かす
一時的にガラス面の曇りは取れても、内部に残った水分でサビや腐食の原因になってしまう恐れがあります。
また、熱により部品が変形・故障する恐れもあるためドライヤーでの乾燥は避けましょう。

×自力で裏蓋を開ける
ご自身での分解は、密閉構造を損ねるだけでなく防水性の低下や部品破損の原因になります。

時計の防水性を維持するためにできること

たとえ防水仕様であっても、長年使用された時計やヴィンテージウォッチは防水性能が低下していることがあり、雨水の侵入リスクが高まります。
また、お風呂やサウナといった高温多湿の環境も、パッキンが劣化しやすくなり防水性能が損なわれる恐れがあります。

1年に1回は防水テストやパッキン交換などのメンテナンスが理想です。
また、お風呂やサウナなど高温多湿を避ける、真夏に車内に放置した場合などはパッキンの劣化につながりますので避けましょう。

防水性能が備わっていても、表示された防水性能が使用環境に合っていない場合もあります。
水遊び(海や川、プール)に行く前に説明書などで確認しましょう。

まとめ

高級時計や愛用の腕時計を水から守るためには、正しい防水性能の理解と日常的なケアが不可欠です。
「100m防水」だからといってすべての水中シーンで安心なわけではなく、状況に応じた使い分けとメンテナンス意識が時計寿命を大きく左右します。

もし水没してしまった場合も落ち着いて応急処置を行い、早めに専門店に相談することで再び快適に使える可能性は十分あります。
大切な時計を長く使い続けるために、防水性能の確認と定期的なケアを心がけましょう。


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