文:株式会社近江屋 広報部
監修:大畑 博之(株式会社近江屋代表取締役・一級時計修理技能士)
はじめに
「昨日まで普通に動いていた腕時計が止まっていた」
「久しぶりに使おうと思ったら時計が動かない」
など、大切にしている時計が突然止まると「故障してしまったのでは?」と不安になりますよね。
しかし、時計が止まる原因は故障だけではありません。
原因は時計の種類によって異なり、クォーツ時計の電池切れやソーラー時計の充電不足、機械式時計のゼンマイの巻き上げ不足など、故障以外のケースもあります。
一方で、電池交換をしても動かない、充電しても改善しないといったケースは、内部の潤滑油の劣化や部品の摩耗、破損などが原因となっている可能性があります。
今回は、時計が止まる主な原因とご自身で確認できるポイント、修理が必要な故障のサインについてご紹介します。
「時計が止まったけど、修理が必要なのか分からない」「オーバーホールはどのくらいの頻度で行えばいいの?」そのような疑問をお持ちの方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
オーバーホールの適切なタイミングや費用の目安についてご紹介しています。
時計が止まる主な原因

クォーツ時計の電池切れ
クォーツ時計が止まった場合、最も多い原因が電池切れです。
ボタン電池は使用していない期間でも少しずつ消耗するため、長期間保管していた時計は止まっていることがあります。電池切れの状態で長期間放置すると液漏れが起こり、内部の回路や部品を傷める原因にもなります。
腐食が進行すると電池交換だけでは改善せず、部品交換が必要になることも少なくありません。
また、秒針が通常と異なる動きをしている場合は、電池交換時期を知らせる機能が作動している可能性があります。
ご自身で裏蓋を開けて電池交換を行うと、ケースの傷みやパッキンの劣化、防水性能の低下につながる恐れがあります。
特に高級時計や防水性能を備えた時計は適切な作業が求められるため、時計修理専門店へ依頼することをおすすめします。
ソーラー時計の充電不足
ソーラー時計が止まった場合、故障ではなく充電不足の可能性があります。
特に以下のような環境では、充電不足になりやすくなります。
・長期間ケースや引き出しなどに保管していた
・長袖の衣類によって文字盤に十分な光が当たらなかった
・着用する機会が少なかった
こういった場合、十分な明るさの光を当てることで再び動き出すことがあります。
また、ソーラー時計の中には一定期間光が当たらない状態が続くと、針を停止して消費電力を抑える「パワーセーブ機能」を搭載したモデルもあります。
まずは取扱説明書を確認し、推奨されている方法で十分な充電を行いましょう。
時計内部の油汚れや潤滑油の劣化
電池交換や充電を行っても改善しない場合、時計内部の油切れや潤滑油の劣化が原因となっている可能性があります。
時計内部には、多くの歯車や部品を滑らかに動かすための専用オイルが使用されていますが、長年使用することで徐々に乾燥・劣化します。
そのまま使い続けると歯車の動きが悪くなり、精度の低下や遅れ、停止などの不具合につながります。
こうした症状を未然に防ぐためには、定期的なオーバーホール(分解清掃)が大切です。
部品の摩耗や破損
機械式時計では、長年の使用によって内部部品が摩耗したり、劣化したりすることがあります。
例えば、ゼンマイの劣化や破損、歯車の摩耗、針のズレや外れ、落下や強い衝撃による内部故障などが原因で、時計が停止してしまうこともあります。
時計が止まった場合、修理前に確認したいポイント

時計が止まった場合でも、すぐに故障と判断する必要はありません。
修理を依頼する前に、以下のポイントを確認してみましょう。
リューズが最後まで押し込まれているか
時刻合わせ後や衣類の袖に引っ掛かった拍子に、リューズが少し引き出された状態になっていることがあります。
クォーツ時計は電池交換時期を確認する
一般的に電池寿命は2~3年程度です。
長期間交換していない場合は、電池切れの可能性があります。
ソーラー時計は充電状態を確認
長期間保管していた場合や光に当たる機会が少なかった場合は、充電不足により停止していることがあります。
取扱説明書に従って十分な充電を行ってみましょう。
時計を長く愛用するためには定期的なメンテナンスが大切
時計が完全に止まってから修理を依頼すると、部品交換が必要になり修理費用や修理期間の負担が大きくなることがあります。
特に高級時計や長年愛用している時計は、故障を未然に防ぐためにも定期的なオーバーホールがおすすめです。
オーバーホールでは時計を分解・洗浄し、部品の点検や注油を行います。
定期的にメンテナンスを行うことで、精度や性能の維持だけでなく、大切な時計を長く愛用することにもつながります。
近江屋では状態を丁寧に確認し、最適な修理内容をご提案しております。
時計に関するお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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高級時計の修理実績については、Achieve.(実績紹介)でご紹介しております。
修理やメンテナンスをご検討の際の参考として、ぜひご覧ください。
まとめ
時計が止まる原因は、電池切れや充電不足によるものから内部機構の不具合までさまざまです。
まずはリューズの状態や電池交換時期、充電状況を確認してみましょう。
それでも改善しない場合や原因が判断できない場合は、無理に分解したり操作したりせず早めに時計修理専門店へ相談しましょう。
弊社では、高級時計を中心に、状態の難しい時計修理にも対応しております。
今回のように「急に止まった」などの症状は、内部の油切れや部品摩耗が原因となっている場合も少なくありません。
部品の破損や摩耗が進んでいる場合でも、可能な限り修復・調整を行い、時計本来の性能を引き出す修理を心がけています。
「動かない」「時間が遅れる」「他店で修理を断られた」といったケースでも、これまでの経験をもとに原因を丁寧に見極め、最適な修理をご提案いたします。
ロレックスやカルティエ、IWCなど、精密な機構を持つ時計の修理実績も多数ございます。
修理が難しいと思われる時計でも、まずはお気軽にご相談ください。
プロフィール
大畑 博之(おおはた ひろゆき)
1938年創業の時計修理会社「株式会社近江屋」代表取締役、個人向け高級時計修理ブランド「e-tokimemte(イートキメンテ)」も運営。ロレックスをはじめ高級時計の修理実績多数。一級時計修理技能士。













