はじめに
時計愛好家やコレクターの方などに以前から人気のあったアンティーク&ヴィンテージの腕時計。
近年では、トータルコーディネートの一部として取り入れる方も増えてきていますね。
レトロな魅力や人とかぶりにくいところなどが好まれているようですが、新品と違ってアンティーク&ヴィンテージ時計だからこそ気を付けた方がよい点も。
今回は、「アンティーク」「ヴィンテージ」という特徴による時計さがしの注意ポイントや、取り扱いなどについてみていきたいと思います。
アンティーク&ヴィンテージ時計さがし、注意ポイントは?
~時計さがしにあたって~
時計の世界では、腕時計について1970年代より前に製造されたものを「アンティーク」、それより後に製造されたものを「ヴィンテージ」と分けることがあります。
クオーツショック(※)をひとつの境目として考えた場合、アンティークという言葉は機械式時計を指すことが多いです。
(※)1970年代、安価で精度の高いクオーツ時計が大量生産されるようになり、従来の機械式時計が衰退したできごと。
ただし、はっきり言葉の定義は決まっていないため、取り扱いショップなどによって表記や呼び方、具体的な分かれ目は異なります。
〈クオーツ時計と機械式時計〉
クオーツ時計が登場する1970年代より前は、機械式時計が腕時計の主流でした。
クオーツ時計は電池式、機械式時計はゼンマイ式で、手巻きと自動巻きという2種類があります。
手巻きは自分でリューズを操作してゼンマイを巻きあげる仕組み、自動巻きは腕につけているだけでゼンマイが巻き上がる仕組みになっています。
手巻きの場合は毎日1回(できれば決まった時間に)ゼンマイの巻き上げ操作が必要です。機械式時計は手間をかけることが苦にならない人、操作を楽しめる人の方が向いているでしょうか……?
〈時刻の正確性〉
一般的なクオーツ時計の精度は月差(ひと月あたりの進み・遅れ)±20秒程度、機械式時計の場合は日差(1日あたりの進み・遅れ)−10~+20秒程度といわれています。
古い年代の機械式時計の場合、時計の精度はどうしても現代のものより劣ってしまい、アンティークの場合は1~2分ほどのズレも許容範囲内とされています。
機械式時計の場合は正確な時刻確認として使用するより、時計そのものを楽しんだり、身に着けることを楽しんだり、コレクションを楽しんだり……と、ゆったりとした気持ちで向き合うのがよいかもしれませんね。
〈時計の状態チェック〉
経年変化の独特な風合いはアンティーク&ヴィンテージ時計の大きな魅力ですが、前の持ち主などによってメンテナンスや修理が行われてきたことが考えられます。
特にムーブメント(駆動機械)などは、内部を開けてみるまでどのような状態か分からない場合も。
これから探してみたいという方は、時計の状態をきちんと知らせてくれる、身元のはっきりとした販売者や信頼のおけるショップでの購入が安全です。
〈模造品(コピー品)には要注意〉
人気ブランドや人気モデルで特に気を付けたいのが模造品(コピー品)。
現行品でも精巧な模造品(コピー品)が出回っており問題になっていますが、アンティーク&ヴィンテージ時計でも同様に注意が必要です。
売り手の情報の確認ができない場合や、あまりにも格安の場合は購入を控えた方がよいかもしれません。
見分けが難しいものなので、時計の状態チェックと同じように信頼できるところで探した方が安心ではないでしょうか。
〈維持費がかかる〉
時計を長く使うためには維持費がかかることが前提で、車の車検のように定期的なメンテナンス(オーバーホール)が必要です。
ブランドによって推奨期間は異なりますが、一般的に腕時計のオーバーホールを行うサイクルは機械式時計で3~5年、クオーツ時計では5~7年が目安だといわれています。時計の状態によっては短期間でメンテナンスを行った方がよい場合も。
アンティーク&ヴィンテージの場合も年代やモデル、使用頻度などによって変わりますが、新品より短めに(機械式時計は3年周期、クオーツ時計は5年周期など)考えておいた方がよいかもしれません。
年代の古いものこそメンテナンスをしっかり行って長く使いたいですよね。少しでも不具合や気になるところが出てきたら、早めに相談や修理を検討してみてください。
取り扱いの注意ポイントは?
最後に、アンティーク&ヴィンテージ時計の取り扱いで特に気を付けた方がよいポイントを。
注意する点は新品の場合と同じですが、アンティーク&ヴィンテージ時計の作られた時代と現在を比べると、素材の変化や環境の違いなども大きいです。そのため、性能の進化した最新モデルよりも慎重に取り扱う必要があります。
●水……たとえ防水機能付きの時計だったとしても、少しの水滴、汗などには気を付けた方がよいでしょう。使用後のお手入れも忘れずしておきたいですね。
●磁気……現代はスマートフォンをはじめパソコンやタブレット、電磁調理器(IH調理器)など磁気を発生する製品が日常生活の中にある時代。防水と同じく、こちらも耐磁機能が付いている時計であってもご注意を。
●衝撃……時計はデリケートな精密機械。特に機械式時計は衝撃に弱いです。スポーツモデルはアンティーク&ヴィンテージでも人気ですが、少しの衝動も避けることをおすすめします。
大切な時計を守るため、シーンによって現代の時計と使い分けるという方法もありますね。
まとめ
今回は、アンティーク&ヴィンテージ時計の特徴から、探すときの注意ポイントや取り扱いなどについてお話しました。
気を付けた方がよいところは色々ありますが、アンティーク&ヴィンテージの時計は一点もの。年月が経ったことで生まれる独特の魅力を持っています。現代の時計との性能の違いや時刻の誤差なども、ひとつの時計の味わいと考えて楽しみたい、という人もいるかもしれませんね。
もし時計さがしで迷った場合は、どんな点を優先したいか考えてみて、ご自分の好みや目的に合ったものを選んでいただくのが一番なのではないでしょうか。
お手元に止まっている時計があるという方、譲り受けたものを修理したい方、興味がありご自分で使ってみたい方……アンティーク&ヴィンテージの時計は修理や定期メンテナンス(オーバーホール)を行えば使い続けることが可能です。
当店にご依頼のあったお客様の時計の修理・オーバーホールの過程や調整の様子もご覧いただけます。
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