誰もが知る高級腕時計オメガ
硬派でクールな印象のあるオメガの中でも代表的なのがスピードマスター。人類初となる月面着陸にも携えられていた、歴史的なモデルです。
いま話題のスウォッチとコラボレーションした「BIOCERAMIC MoonSwatch」(バイオセラミック ムーンスウォッチ)も、オメガのスピードマスターをデザイン面でインスパイアしたユニークなモデルで人気ですね。抽選結果も発表され、ますます話題を呼んでいるようです。
そんなオメガのスピードマスターに、スヌーピーの絵柄のモデルがあることをご存じですか?
一見意外な組み合わせのオメガとスヌーピーですが、そこにはオメガの歴史と宇宙開発の深いストーリーがありました。
今回はオメガ スピードマスターの、スヌーピーとコラボレーションしたモデルをご紹介します。
宇宙へ行ったスピードマスターはどんな時計?
スピードマスターは1957年、モータースポーツのプロフェッショナルモデルとして誕生しました。
モータースポーツの世界で使われることを念頭に置いて、正確に時間を計測できるクロノグラフ(簡単に言うとストップウォッチ機能)がついています。
同じ時期には宇宙開発も活発に行われており、NASAが宇宙有人飛行に耐えられる腕時計を探して、各時計メーカーにクロノグラフのついた時計を依頼していました。
そこでオメガが提出したのがスピードマスターです。NASAは宇宙空間で使用することを想定したテストを行い、スピードマスターは多くの著名なブランドの腕時計と耐久性・正確性を競うことになります。
当初はまさか宇宙空間で使われるなんて想定されていなかったスピードマスターですが、高温、低温、湿度、衝撃、加速度など過酷な条件のテストを耐え抜いたのはスピードマスターだけでした。
オメガとスヌーピー、コラボレーションの経緯
オメガのスピードマスター・プロフェッショナルは1965年にNASAの公式時計に採用されており、NASAの宇宙開発に深くかかわっています。
そのNASAがスヌーピーを安全の象徴としてマスコットにしていることから、オメガがスヌーピーの時計を出していることに繋がってきます。
NASAとスヌーピー

1967年、アメリカの有人宇宙飛行船アポロ1号が地上での訓練中に出火爆発し、3名の宇宙飛行士が犠牲になる悲劇が起きました。
人命にかかわる宇宙開発を続けることに疑問の声が沸き上がり、アポロ計画は存続の危機にぶつかります。
NASAは安全飛行やミッション成功につながる取り組みを始めました。こうした中で安心・安全の象徴となり有人宇宙飛行の番犬となるようなシンボルが必要とされ、
選ばれたのが国民的によく知られているキャラクター「スヌーピー」だったのです。
後に有人宇宙飛行ミッションの成功に大きく貢献した人や団体を表彰する「シルバー・スヌーピー賞」を設立。
宇宙開発の功労者に、宇宙服を着たスヌーピーの純銀製バッジを贈呈しています。
宇宙空間でのオメガ スピードマスターの活躍
オメガのスピードマスター・プロフェッショナルのクロノグラフ(簡単に言うと腕時計についたストップウォッチ機能)は宇宙空間での使用を想定したテストをクリアし、正式に採用され、有人飛行の全計画で使用されていました。
スピードマスター・プロフェッショナルのクロノグラフが大活躍し、スヌーピーと縁ができたきっかけはアポロ13号のトラブルです。
1970年、月に向けて発射されたアポロ13号は地球から33万kmの宇宙空間で酸素タンクの爆発が起こり、宇宙飛行士たちは深刻な電力不足の状態で宇宙に取り残されることになります。
地球に帰還するために奮闘する宇宙飛行士の前に様々な問題が立ちはだかりました。地球に帰還するにはエンジンを手動で操作し、機体の軌道修正しなければならず、そのためにはエンジンをきっかり14秒間噴射させる必要がありました。
この命を懸けた14秒を計測する時に使われたのがスピードマスター・プロフェッショナルです。
乗組員はスピードマスター・プロフェッショナルのクロノグラフで正確に14秒計測し、無事に機体を軌道修正して地球に帰還することができたのです
同年オメガはこのアポロ13号での功績によって、NASAから「シルバースヌーピー賞」を贈られました。
これを記念して、後年にスヌーピーのコラボウォッチ販売に至ります。
スピードマスター限定モデル「スヌーピーアワード」
現在存在するオメガのスヌーピーコラボウォッチ「スピードマスター・スヌーピーアワード」は3つ。
2003年に販売されたもの、アポロ13号から45周年を記念し2015年に販売されたもの、そしてアポロ13号から50周年を記念した2020年のものです。
1. 2003年スピードマスタープロフェッショナル・スヌーピーアワード(Ref.3578.51)
2003年に販売されたスヌーピーアワードは、アポロ13号の活動時間である142時間54分41秒からとって5441本限定で販売されました。
黒い文字盤を背景に、9時位置のスモールセコンド(センター以外に配置された秒針)に宇宙服を着たスヌーピーがいる、当時としては新鮮なデザインでした。
スヌーピーの上には「Eyes on the stars」(星を見てごらん)という印象的なフレーズが刻まれています。
裏蓋にも同じ柄のスヌーピーが配置されていて、クールながらも愛らしい魅力があります。
当時の定価は367,500円だったのですが、現在では3倍以上に値上がりしているレアな時計です。
2. 2015年 スピードマスター・アポロ13号45周年記念 スヌーピーアワード(Ref.311.32.42.30.04.003)

アポロ13号45周年を記念した2015年のスヌーピーアワードは、白文字盤に黒の秒針とベゼルがよりいっそうスヌーピーらしいデザインです。
12時から3時までの曲線に沿って「What could you do 14 seconds?」(14秒の間に何が出来た?)とあり、帰還の鍵を握る14秒を描写しています。
9時位置にぺたっとうつぶせになったスヌーピーが呟いている「Fall is not an option」(失敗という選択肢は無い)という言葉は、
映画「アポロ13号」のフライトディレクターであるジーン・クランツのセリフ。主任管制官だった彼が、必ず乗組員を地球へ帰すと決意した際の言葉だそうです。
裏蓋にはシルバースヌーピー賞で授与される銀のバッジと同じポーズのスヌーピーがいます。
アポロ13号で発生した事故と、危機的状況を切り抜けたドラマティックな瞬間を思い起こさせる記念モデルです。
1970年に発射されたアポロ13号を記念して1970本限定で販売されました。
当時の定価は71万円ですが、限定本数による希少性と人気により、現在ではプレミア価格がついています。
3. 2020年 スピードマスター”シルバースヌーピーアワード”50周年記念(Ref.310.32.42.50.02.001)

2020年版は白い文字盤にブルーが配置されたスタイリッシュかつシンプルな高級感のあるデザインです。
今回は宇宙服のスヌーピーが復活し、シルバー製メダリオンにエンボス加工のスヌーピーが、いつもの9時位置のスモールセコンドに腕を広げて浮かんでいます。
今まで以上に凝った作りになっているのは裏蓋で、漆黒の宇宙に浮かんだ月と地球がリアルな宇宙空間が再現されています。
それだけではなく面白いギミックがあり、クロノグラフを動かすとスヌーピーが乗り込んだ宇宙船が右から左にぐるりと周り、月の裏側を探検する仕組みです。
月の部分は独自の金属化技術を使用したサファイアクリスタルに描かれており、クレーターの凹凸がリアルな月面となっています。
月の向こうには地球も浮かんでおり、スモールセコンドと連動して1分で1回転します。さらに漆黒の宇宙には“Eyes on the Stars(星を見てごらん)”のフレーズが。
裏蓋の端にはシルバースヌーピー賞を受賞した1970年の日付や、”Apollo XIII”(アポロ13号計画)の文字が刻印されています。
定価は113万3000円ですが、現在の相場は330万円~380万円前後となっています。
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