老舗時計ブランド「ユリス・ナルダン」
時計に興味がない人にはあまり知られていないブランドですが、時計愛好家には「あの時計、いいよね……」と熱く慕われているであろうブランド「ユリス・ナルダン」
海を愛し、SDGs(持続可能な開発)の目標 14「海の豊かさを守ろう」というミッションに熱心に取り組んでいることでも知られています。
今回はそんなユリス・ナルダンというブランドの特徴を3つ挙げて解説したいと思います。
ユリス・ナルダンの時計紹介はこちら→ユリス・ナルダンの主な時計紹介
海との深い繋がり
ユリス・ナルダンは海と関わりの深いブランドです。
1846年の創業当初から航海用のマリンクロノメーターの開発に力を入れてきました。
マリンクロノメーターとは、船の正確な位置を測定するために、揺れる船内であっても秒単位の精度を維持する高精度時計です。
ユリス・ナルダンはこのマリンクロノメーターの分野で高いシェアを獲得しました。55か国もの海軍で使用され、日本海軍の戦艦「三笠」にも搭載されていました。
こうした背景から、マリンクロノメーターの系譜を引き継ぐ「マリーン トルピユール」というモデルがあります。
マリンクロノメーターにはいくつか種類があり、マリーン トルピユールは船長が持ち運ぶポケットクロノメーターをモチーフにしたデザインです。
ダイアルの下半分を占める大きなスモールセコンドは、正確に時を測るマリンクロノメーターの特徴を引き継ぐものです。
開発力のユリス・ナルダン
出典:https://www.ulysse-nardin.com/jp_jp/heritage
1969年、セイコーが世界初のクオーツ腕時計を発表したことで機械式時計の業界は大打撃を受け、絶滅寸前まで追い詰められました。
この危機を救った腕時計の一つが、ユリス・ナルダンの「アストロラビウム・ガリレオガリレイ」をはじめとする天文三部作です。
1980年代に入ると機械式時計を見直そうという機運が高まり、機械式時計を単なる時間を知るためのアイテムではなく、文化や技術を伝承する芸術品として復活させようという動きがでてきました。
チップ一枚で済んでしまうクオーツに対して、複雑な構造の機械部品、卓越した技術により成立する永久カレンダーやトゥールビヨンといった複雑機構を持つ機械式時計はまさに芸術品といえます。
そこで当時のユリス・ナルダンのCEOが、複雑機構を極めた「腕時計型の天文時計」の作成をルードヴィヒ・エクスリン博士に依頼したことで開発がスタートします。
エクスリン博士は考古学、古代史、ギリシャ語に通じ、“ファルネーゼ・クロック(1725年製)”と呼ばれる有名な天文時計を修復して論文にしたことでも有名な、天文時計の第一人者です。
完成したガリレオガリレイは天文時計としての複雑な機能の数々をリューズ一つで操作できてしまう衝撃的な時計で、1989年には「世界一複雑な腕時計」としてギネスブックの表紙にも掲載されました。
機械式時計冬の時代を技術力で突破したユリス・ナルダンは、その後もムーブメント自体が回転して時を示す複雑機構の時計「フリーク」を開発し、高い技術力を見せつけています。
サメが大好き!ユリス・ナルダン
出典:https://www.ulysse-nardin.com/jp_jp
これについては公式サイトをご覧ください。平気でサメが空を飛んでいます。
スイスの雪景色をシュモクザメが泳いでいる様は、近頃の海以外に進出したサメ映画の高級版といった趣です。シャークネード魂を感じますね。
余談ですが私が今最も観たいサメ映画は『トリプルヘッドジョーズ』です。ダニー・トレホが出るから。
それはさておき、ユリス・ナルダンはサメをモチーフとした限定モデルを発表したり、すべての「シャークウォッチ」の年間売上の1%をサメの保護団体に寄付したり、サメにタグをつけて研究に役立てる“シャークタギング”の活動を支援したりと、真剣にサメに取り組んでいます。
どれぐらい真剣かというと、実際のホオジロザメを初の公式アンバサダーに任命するほどです。
……やっぱりB級サメ映画魂を感じてしまいますね。
次回はマリーン、ダイバー、フリークなどの基幹モデルをご紹介します。
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