体内時計ってなに?~体の中には時計がたくさん!不思議なメカニズム~

時計豆知識
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はじめに

みなさんは、朝になると自然と目が覚める、お腹が空いたと思ったら12時だった……といった経験はありませんか?
私たちはいつも時計を見ながら生活していますが、体の中にも時計を持っています。
その名前は「体内時計」、生活習慣や健康に関するニュースなどで聞いたことがあるかもしれませんね。

体内時計とは、生物の体内に備わっている時間や季節などを知るメカニズムのことをいいます。
現代の生活スタイルは幅広いですが、朝に目が覚めて、決まった時間にお腹が空いて、夜には眠くなって……という基本的な1日のサイクル(生活リズム)は体内時計の働きによるものだそう。

今回は、体内時計とはどんなものか、体内時計が整った場合や乱れた場合などについてもみていきたいと思います。

体内時計とは?

体内時計は、生物の体内に生まれつきある時間を計るしくみで、生物時計とも呼ばれています。
植物や動物、微生物までほぼすべての生物は体内時計を持っていて、地球の自転による環境の変化(昼夜の変化、季節の変化など)に合わせて、体内の環境も変化させています。

体内時計から生まれる「生体リズム(生物リズム)」は、1日のリズム、1週間のリズム、1か月のリズム、季節のリズムなど種類もいろいろ。
短いものでは心拍数や脳波など、長いものでは動物の冬眠(1年の周期)など……植物が開花するのも体内時計が関わっているのだとか。

一般的に体内時計というと、1日周期のリズム(※)を指して使われることが多いようです。
(※)概日(がいじつ)リズム。サーカディアンリズムともいわれる。昼夜の変化に対応したほぼ24時間の周期。

人間の場合、体内時計の周期は基本的に24時間よりやや長め(中には短い人も)といわれています。
朝の起床後に日光を浴びたり、朝食を食べたりすることで体内時計が早まり、最終的に24時間に調整されます。
体内時計は、脳に「親(主)時計」が、皮膚や内臓など全身の細胞に「子(副)時計」があります。それぞれ細胞の中に「時計遺伝子」があって連動しているとのこと。

2017年には、時計遺伝子の働きや体内時計のメカニズムについて研究したアメリカの研究者3名がノーベル生理学・医学賞を受賞し、健康や食事、美容など様々な分野から体内時計は注目されているそうです。

目には見えないものですが、たくさんの時計が体の中にあると考えるとなんだか不思議ですね。

体内時計を整えるとどうなる?

体内時計は、
・睡眠や覚醒、食欲や消化、体温調節などの生理的機能
・メンタルヘルスや、外界の環境変化に対して適応力を高める免疫機能など
に影響を与えるといわれています。

●健康な睡眠
眠気や覚醒のサイクルが調整され、適切な睡眠を促します。
質の良い睡眠によって、体の修復と再生に必要な時間を得ることができます。
健康状態を維持するのに役立ちます。

●エネルギー効率の向上
食欲・代謝・消化のリズムが調整されます。
食事のタイミングや量を調整することができるため、エネルギーの消費や貯蔵が効率的になります。
体重管理や栄養バランスの維持に役立ちます。

●精神的な健康
適切な睡眠や食事、運動を行うことができるため、ストレスや不安が緩和されます。
心理的な健康状態が改善します。
メンタルヘルスを維持するのに役立ちます。

●免疫機能の向上
免疫機能のリズムを調整します。
正常な体内時計により、免疫系の機能が強化され、感染症や炎症を防ぐのに役立ちます。

体内時計の時刻合わせに大きく影響するのが光です。
目から入った光の変化の情報を、脳が受け取って体内時計を調整します。
人間にとって朝の強い光(太陽)は体内時計を早め、夜の強い光(電気やテレビ、パソコンやスマートフォンなど)は遅らせます。
朝日を浴びることで体内時計がリセットされるしくみになっているため、毎日うまくリセットできないと、体内時計はどんどんずれていくことになります。

体内時計が乱れるとどうなる?

体内時計が乱れると、
・慢性的な睡眠不足や健康問題
・うつ病や不安障害などの精神的疾患
などを引き起こすことがあります。

睡眠障害
適切な睡眠のリズムを維持することができず、慢性的な睡眠不足や不眠症を引き起こす可能性があります。

●食欲・代謝の異常
食欲や代謝のリズムが狂い、肥満や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす可能性があります。

●精神的な問題
うつ病や不安障害などの精神的な問題を引き起こす可能性があります。

●免疫機能の低下
免疫機能のリズムが乱れ、感染症や炎症にかかりやすくなる可能性があります。

●他の生体リズムの乱れ
体内時計は、他の生体リズム(血圧、体温、ホルモン分泌など)と関連しているため、それぞれのリズムの乱れを引き起こす可能性があります。
飛行機の長距離移動などで起きる時差ぼけも、体内時計のずれが影響しています。
睡眠不足が原因ではなく、睡眠リズムが変化することで体内時計のバランスが乱れてしまうため。
出張や海外旅行などで経験されたという方もいるのではないでしょうか。
到着地での滞在期間が長い場合、時差ぼけ対策のひとつに、フライト中から到着地の生活リズムに合わせて過ごすという方法があります。

機内で時計を到着地の時刻に変更すればよいのですが、ワールドタイム機能(※1)やGMT機能(※2)のついた腕時計は、2か国以上の時刻を同時に見ることができます。あらかじめ設定しておくと出発地・到着地の時刻や時差が一目で確認できて便利です。
(※1)文字盤の回転ディスクや回転ベゼルなどによって、世界の主要都市(国)の現地時間を同時に見ることができる。
(※2)通常の針と専用のGMT針によって、2つの時刻を同時に見ることができる。

まとめ

今回は、体内時計の1日周期(24時間)のリズムについてみてきました。

1日のリズムの他にも1週間のリズム、1か月のリズム、季節のリズムなど様々な周期のリズムが体内時計から生まれています。
植物を育てていたり動物と暮らしていたりすると、人間の生活リズムと違うと感じることもありますよね。
体内時計のしくみは徐々に解明されてきましたが、まだ謎も多いそうです。
不思議なメカニズムですが、ご自分の体や身の回りの植物や動物など、色々な体内時計を意識してみてはいかがでしょうか。


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