時計を水没させてしまった際の対処法、修理

手入れ・保管・修理
手入れ・保管・修理時計豆知識

はじめに

「誤って時計を洗濯機でまわしてしまった」
「海に落としてしまった」
「突然の大雨で濡らしてしまった」
など、水没に関するご質問をいただくことがあります。
水没は適切な対処法を知らないと状態が悪化することもあり、非常に厄介です。
今回は水没(水濡れ)の対処法や修理についてご説明します。

時計は水に弱い

大前提として時計は水に弱いです。
防水時計でも、本来の性能を超える水圧や、防水パッキンの劣化などで内部に水が入ってしまうことがあります。
内部への浸水は、電池腐食やムーブメントのさび発生など、故障のおもな原因になります。

うっかり水没させてしまったら

まずは外側についている水分を乾いた布でよく拭き取りましょう。
この際、リューズやプッシュボタンを操作しないように注意してください。
水分のついたままリューズなどを操作すると、時計内部に水分が侵入してしまう恐れがあるので避けてください。

外側の水分を拭き終わったら時計の状態を確認しましょう。
水没させても内部に水が入り込んでおらず、正常に作動している場合があります。その場合は風通しの良い場所で保管し、よく乾かしてください。

水が入ってしまったら
水分を拭き取ったのち、ガラス内に曇りや水滴が目に見えて確認できる場合は、チャック付きポリ袋などに入れ、空気にふれないようにし、なるべく早く専門店に修理を依頼してください。

NGな対処法

1.「ドライヤーで乾かす」
ドライヤーで乾かすと、一時的にガラスの曇りが改善される場合がありますが、内部に水分が残ってしまっていることもあります。
しっかり乾燥できていないと、内部でさびが発生してNGな対処法部品が腐食してしまいます。
また、熱により部品が破損してしまうこともあるため止めましょう。

2.「裏ブタを開け乾燥」
なかには、ご自身で裏ブタを開けて乾燥させる方もみえますが、破損につながる可能性があるため避けてください。
自然乾燥では内部に水分が乾ききらず残ってしまい、水垢などから部品が腐食してしまう場合があります。

時計の防水性能の違い

ご自身で気をつけていても、急な大雨や、車の水はねなど避けることが難しい事態があるかと思います。
腕時計には、非防水と防水機能付きのタイプがあり、時計によって異なりますので、もしもの時のために違いを知っておくとよいでしょう。
防水タイプの腕時計は、ISO規格(国際標準化機構)やJIS規格(日本産業規格)によって防水区分の分け方は異なりますが、大きく分けて「防水時計」と「潜水時計」があり、防水性の度合いにより分類されています。
ここからは、時計の防水性能の違いについて基本的なことをご紹介します。

1.非防水
元から防水性を持たない時計です。
手洗いや洗顔の際にかかる水滴をはじめ、湿気や水蒸気、雨に濡れるだけでも故障の原因になってしまいます。
文字盤や裏ブタに「WATER RESISTANT(ウォーター レジスタント)」=耐水性の表示がないものは防水に対応していないため、直接、水に触れないよう気をつけてご使用ください。
最近の時計では少なくなりましたが、アンティーク時計ではもともと防水性が低いものが多いため、特にご注意ください。

2.日常生活防水
2~3気圧防水の機能を備えた「日常生活防水」と、5~20気圧防水の機能を備えた「日常生活強化防水」があります。
腕時計の防水性の目安は「気圧防水」と表示されます。
1気圧は10メートルを表すため、水深10メートルまでの水圧に耐えられるという意味になります。ただし、静止状態での動作保証を表すため、表示通りの水深に耐えられるというわけではありません。
たとえば5気圧防水の表示があっても、実際に動きながらの操作(静止時よりも高い水圧がかかる)になると、水深50mでの使用は難しいという状況になります。

〔2~3気圧防水〕日常生活における汗や弱い雨など、水がかかる程度の水濡れに耐えることができます。
家事での洗い物や、プールに入るなど、そのまま時計を水につけることはできません。

〔5気圧防水〕洗い物やお風呂そうじ、農業や漁業などの水仕事でも使用ができます。
しかし、勢いよく出した水道の蛇口やシャワーの水圧に耐えることはできません。

〔10気圧防水〕川や海でのレジャー、アウトドアの時にも身に着けることができます。競泳や素潜りなどでも使用可能です。
お風呂やサウナ、温泉などでの使用は不具合につながるため避けた方がよいでしょう。

〔20気圧防水〕スキンダイビングなど空気ボンベを使用しない潜水、サーフィンなど水上スポーツの際にも身につけることが可能です。
ただ、海水の侵入は真水より早くさびが進んでしまうため、注意してお使いください。

防水機能がある時計には、文字盤やケースの裏ブタに「WATER RESISTANT」「W.R.」「※WATER RESISTANT 〇m(bar)」などの表示があります。
“日常生活防水”の表記について、正確な解釈はメーカーによって異なる場合があるため、取扱説明書で防水性能を確認した上で使用しましょう。

※「bar」は気圧、「m」は水深(〇の部分には数字(耐えられる水深)が入る)を指します。どの程度の水圧、水深まで耐えることができるかを表しています。

3.潜水用防水
気密性や水密性が高く、文字通り潜水用の時計で「ダイバーズウォッチ」とも呼ばれます。
100~200mまでの潜水に耐える「空気潜水用防水」と、200~1,000mまでの深海潜水に耐える「飽和潜水用防水」があります。

〔空気潜水用防水〕空気ボンベを使用する潜水に対応しています。
浅海での潜水(スキューバダイビングなど)に使用されますが、深海では使用することができません。

〔飽和潜水用防水〕防水機能を持つモデルの中で最も高い防水性能を備えた時計です。深海へのダイビング(飽和潜水)にも耐えることができます。

「DIVER’S 〇m」などの表記がダイバーズウォッチの防水機能の証明になります。

水のリスクを避けるために

一般的にドレスウォッチなどフォーマルタイプは防水性が低く、スポーツウォッチなどのモデルは防水性が高い傾向にありますが、表示に沿った使い方を守り、水濡れには十分ご注意ください。
ヴィンテージの時計をはじめ高価な時計などは、防水の度合いによって雨の日や水に触れる際は外すなど、少しでもリスクを避けた方がよいでしょう。

ご自身の時計がどの程度の防水タイプか、あらかじめチェックしておくと安心かもしれません。時計に表示のない場合は取扱説明書などで確認しておきましょう。

早めのご相談を

時計の水没は、時間が経てば経つほど、さびや腐食が進行し状況が悪化してしまいます。
できるだけ早く専門店で適切な対処(※オーバーホール)を依頼してください。

※オーバーホールとは、時計のすべてのパーツを分解し洗浄した後、元通りに組み立てるメンテナンス(分解掃除)のことを指します。

弊社では水没の場合、修理(オーバーホール)費用は基本的にお見積りになります。

内部の状況や浸水の原因により異なるため料金は一概にお伝えすることはできませんが、お見積りの際には、それ以上に症状が進行してしまわないよう、応急的な水抜き、乾燥作業をさせていただきますので、まずはご相談ください。


時計修理の近江屋では高級時計、アンティーク時計、ヴィンテージ時計の他、掛け時計など腕時計を中心に幅広く時計修理を承っております。

高級時計の王道である「ロレックス」や「ロレックスのアンティーク時計」も数多く修理してきた実績も抱えております。
その他、カルティエ、オメガ、タグホイヤー、エルメス、IWC、ヴァシュロン・コンスタンタン、ジャガールクルト、ダンヒル、パネライ、ピアジェ、ボーム&メルシェ、ロジェ・デュブイ、ウブロ、ゼニス、グラスヒュッテ、ジャケ・ドロー、ティソ、ハミルトン、ブランパン、ブレゲ、ラドー、ロンジン、ショパール、ハリーウィンストンなど、長年培ってきた技術で、どんな古い時計でも、どんなブランドでも修理を承ります。

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