はじめに
将棋のタイトル戦、近年はTVのほかインターネットなどでも生中継されることが増えましたね。
先日の王座戦では藤井聡太七冠が全八大タイトルの八冠目に挑戦。勝利したことで史上初の八冠制覇となり、将棋界だけでなく各方面で話題になりました。
現在のタイトル戦の対局時間は、対局室にいる記録係のタブレット端末で管理されていますが、棋士によっては将棋盤の前(自分の手元)に持参した時計を置くことがあります。
今回は、将棋のタイトル戦に注目して、棋士がどんなタイプの時計を使用しているのかみていきたいと思います。
将棋のタイトル戦
今年6月、日本将棋連盟の新会長に就任された羽生善治九段。
1996年に羽生九段が七冠を独占した当時は「名人戦」「竜王戦」「王位戦」「王座戦」「棋王戦」「王将戦」「棋聖戦」という七大タイトルでした。
その後「叡王(えいおう)戦」が増えて八大タイトルに。
8人の棋士がひとつずつタイトルを分け合った時期もありましたが、現在すべてのタイトルを藤井八冠が獲得しています。
将棋のタイトル戦では、対局する棋士の和服(羽織・袴)姿も印象的ですよね。
これまでスーツと和服のどちらもみられましたが、伝統を受け継ぐ意味や、規定で原則和服を着用というタイトル戦もあり、和服で対局される人の方が多いようです。
藤井八冠の初タイトル挑戦時は初戦のみスーツ姿でしたが、日程的に和服での対局準備が難しく見送ったそう。
タイトル戦での将棋中継では、棋士が信玄袋(和装の際に使われる手提げ袋)から扇子や時計などの持ち物を出し入れする様子が画面に映ることも。人によっては和服の袂(たもと)から懐中時計を取り出す姿もみられます。
ところで、一般的な和装についてフォーマル(冠婚葬祭)の場ではアクセサリーを身に付けない方がよいという話を聞くことがありますよね。
腕時計については、フォーマルシーンで
・時計で和服の袖口を傷つけてしまう可能性がある
・時計をつけている=帰りの時間を気にしている、というメッセージになってしまう
ということなどが理由で避けた方が無難だといわれています。
そのため、懐中時計が選ばれることも多いです。
一方、カジュアルな場では、和服の色や柄に合わせて小物やアクセサリーなどを楽しむ人も増えてきましたね。
性別や年齢を問わず和装に合う腕時計や懐中時計などが選ばれているようで、レトロな雰囲気のアンティーク・ヴィンテージ時計も人気とのことです。
棋士が持参する時計はどんなタイプ?
将棋界では、通常の対局ではスーツに腕時計という組み合わせが多いようです。
タイトル戦については、対局室に時計を持参しない(手元に出していない)人のほか、腕時計派、懐中時計派、置き時計派……とタイプが分かれるように思われます。
スマートフォンや携帯電話は時間の確認に便利ですが、将棋の対局中に電子機器の持ち込みは禁止。
対局者は電子機器を預けるため、将棋ソフト(AI)などでの研究はもちろん、2日制タイトル戦の宿泊中の夜間でも外部とは連絡もとれないそうです。
●時計を持参していない(持っていても手元には出していない)
そもそも対局時間は?というと……対局者が使用できる「持ち時間」は、各4時間・各5時間(1日制)、各8時間・各9時間(2日制)とあり、タイトル戦によって異なります。
ふたり合わせると8~18時間にもなり、2日制は文字通り1局を2日間かけて行う長丁場。
現在、タイトル戦の対局時計は記録係のタブレット端末で管理され、開始時刻や封じ手(※)時刻は立会人が、昼食・夕食休憩の時刻は記録係が知らせるなど、時間管理はきっちり行われます。¥
(※)2日制の対局で、1日目の最後に次の一手を用紙に書いて立会人に預けること。
対局者が持ち時間を使いきった後、記録係が秒数をカウントする「秒読み」に入ると形勢が二転三転する場合もあり、観戦している側の緊張感も増しますよね。
●腕時計派
将棋のタイトル戦では、腕時計は外した状態で使われている様子が見られます。
羽生九段は過去にスーツと腕時計、和服と懐中時計、和服と腕時計など、色々な組み合わせで対局されています。
近年のタイトル戦では和服姿、腕時計を将棋盤の前に置かれていました。
今年始めに行われた王将戦では、羽生九段が藤井五冠(当時)に挑戦。
前人未到の「タイトル通算100期」を懸けた羽生九段と藤井八冠とのタイトル戦が初めて実現したことで、大きな注目を集めましたね。
●懐中時計派
ベテランから若手棋士まで、和服の際に懐中時計を持参する人は多いようです。
手巻きの機械式時計であったり、時刻合わせの便利な電波時計であったり……動作音の小さいものを使用したいという人も。
鎖付きの場合、時計の周りにくるりと鎖を巻いた状態で置かれている様子もよく見られます。
和服に合わせてということもあるでしょうが、見やすさや使いやすさなど、それぞれ理由があって選ばれているのではないかと思われます。
また、タイトル戦で使用した懐中時計を、普段のスーツ姿の対局時に愛用している棋士もいるそうです。
●置き時計派
置き時計といっても、小型のデジタル表示のものをタイトル戦の際に持参されているのは藤井八冠。当初は時計を持ってきていなかったそうですが、現在は使用されている姿が見られます。
将棋中継では、解説者(棋士や女流棋士)が棋士の持ち物トークをすることもしばしば。
解説者エピソードによれば、藤井八冠の時計には温度表示もあり、室内温度の確認や調整に活用しているとのこと。
腕時計や懐中時計を選ぶ棋士が多いなか珍しいですが、一目で見やすいデジタル数字や温度計つきを選択している点、とても合理的な時計の活用法ですね。
タイトル戦に持参する時計は人それぞれ。複数を使い分けている棋士もいるようで、どのタイプを選んでいるのか人によってこだわりポイントの違いがありそうで気になります。
まとめ
今回は、将棋のタイトル戦で棋士がどのようなタイプの時計を使用しているのかみてきました。
タイトル戦によって持ち時間は異なりますが、1日の朝から夜まで考え続ける将棋。気力も体力も、頭の疲労も観戦する側からは想像もつかないすごい世界だと思います。
全国各地を巡るタイトル戦からは、趣のある対局場や勝負めし・おやつ情報など、ご当地ならではの魅力が将棋中継をはじめ新聞やニュースなどで伝わってきますよね。
季節や対局場所によって変わる棋士の和服を楽しみにしている人も多いようです。
様々な楽しみ方がある将棋のタイトル戦、勝敗はもちろん気になるところですが、対局の時間や時計などに注目しながら見てみるのもいかがでしょうか。
時計修理の近江屋では高級時計、アンティーク時計、ヴィンテージ時計の他、掛け時計など腕時計を中心に幅広く時計修理を承っております。
高級時計の王道である「ロレックス」や「ロレックスのアンティーク時計」も数多く修理してきた実績も抱えております。
その他、カルティエ、オメガ、タグホイヤー、エルメス、IWC、ヴァシュロン・コンスタンタン、ジャガールクルト、ダンヒル、パネライ、ピアジェ、ボーム&メルシェ、ロジェ・デュブイ、ウブロ、ゼニス、グラスヒュッテ、ジャケ・ドロー、ティソ、ハミルトン、ブランパン、ブレゲ、ラドー、ロンジン、ショパール、ハリーウィンストンなど、長年培ってきた技術で、どんな古い時計でも、どんなブランドでも修理を承ります。
部品がない、部品が生産されていないなど、アンティークやヴィンテージなどの古い時計の修理もお任せ下さい。
名古屋市昭和区にある時計修理サロンの他、百貨店事業部として百貨店様の時計修理コーナーでも高級ブランドの時計修理も承っております。
名古屋で信頼できる時計修理のお店をお探しの方は、ぜひ近江屋までお気軽にご相談ください。