はじめに
時計のオーバーホールはクルマの車検のように定期的に行うメンテナンスです。
大切なお時計を長くご愛用いただくために必要な作業ですが、クルマの車検のように決まった実施期間が定められているわけではありません。
今回はオーバーホールのタイミングや、オーバーホールに要する期間、金額についてお話していきます。
オーバーホールとは?
オーバーホールとは、時計を長く使っていくために行う定期メンテナンス(分解掃除)をさします。
腕時計にはシンプルなものでも100以上という、たくさんのパーツが使われています。
オーバーホールは、そのすべてのパーツを分解し洗浄します。そこからすべてのパーツを検査し、調整や交換、注油を行い組み立てていきます。
組みあがった時計は時間精度検査やパワーリザーブ(持続時間)検査、防水検査など多くの性能検査を行いながら、細かな調整を繰り返します。そのため、ある程度の期間を要するのが一般的です。
初めてオーバーホールをするタイミングは?
「大切な人からの贈り物」
「頑張った自分へのご褒美」
思い入れのある時計だから大事にしたい。
しかし、メンテナンスに出すタイミングがわからずに不安に思っている方もいるでしょう。
基本的には、歯車などの時計内部に注油されているオイルの劣化する時期や、裏ぶたやリューズの防水パッキンが劣化する時期が一つの目安となります。
オイルは3~4年、パッキンは5年くらいで劣化するといわれています。
したがって3~5年ごとにオーバーホールを依頼するのがオススメです。
もちろん、ご使用頻度や状況により、もっと短期間でメンテナンスが必要になる場合もあります。中には5年以上、10年以上使っても全く異常がないということもあります。
しかし、実際には目に見えない内部の部品摩耗や劣化によるダメージは蓄積しており、結果的に時計の寿命を縮めてしまっていることもあるため、適切なタイミングでオーバーホールを行うことが必要です。
オーバーホールにかかる期間は?
弊社では見積りに1週間、実際のオーバーホール作業は、クォーツ時計で3~4週間、機械式時計(シンプル)で1か月、クロノグラフなどの多機能モデルやヴィンテージ時計などは、1.5~2か月のご案内となります。
もちろん必要な修理内容や状況により前後しますので、詳しくはお問い合わせ下さい。
オーバーホール金額の目安は?
一般的なクォーツ時計で1~3万円、機械式時計で3~5万円、多機能モデルで5万円~のご案内となる場合が多いです。
弊社の場合、ゼンマイなどの基本的な内装部品代や外装の研磨代が料金に含まれているため割高に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、トータルで内容をみていただければ必ずご納得いただけると思います。
修理料金はブランドや年式により異なる場合もありますので、詳しくは弊社の修理料金表をご参照いただくか、電話またはメールにてお問い合わせ下さい。
スムーズな手続きのために
最後に、オーバーホールのために気をつけておくと、スムーズな手続きにつながることをご紹介します。
1.保証書などの書類保管を大切に
オーバーホールを定期的に実施するため、保証書などの書類関係は、時計ごとにケースへ収納しておくとわかりやすいでしょう。
自分の時計をいつオーバーホールに出すべきなのか、その時期がわからなくなってしまった場合に便利なのが、次の二つです。
・購入時にもらった保証書 …「購入年月日」が記入されています
・前回オーバーホール時の納品書 …「作業完了日」が記入されています
その日付を見れば、次回の予定日も計算ができるので、大切に保管しておきましょう。
時計を複数本所有している方は、時計ケースと一緒に収納しておくと、どの書類がどの時計のものか、判別しやすくなるはずです。
2.郵送をする際は、汚れを落としておきましょう
もし、オーバーホールで時計を郵送する場合は、あらかじめ汚れを落としておきましょう。
見た目の問題だけでなく、事故防止にもつながります。
ケースやバンドなども洗浄するのだから…と時計を汚れた状態のままオーバーホールに出してしまうと、郵送の途中にもリスクがあります。
たとえば、汗や海水など塩分を含んだ水気が残っていた場合、数日程度でもサビやカビが発生してしまうことがあるからです。
近郊からの郵送であれば、基本的にはそれほど日数はかからないはずですが、大切な時計の不測の事態は避けたいものです。
付着した汚れは専用クロスなどで落とし、緩衝材などで丁寧に包んだ状態で郵送することを心がけましょう。
〈参考文献:「腕時計の教科書」株式会社学研パブリッシング(2014)〉
まとめ
時計によって異なりますが、見積りをはじめ、作業や各種検査を厳格に実施するため、オーバーホールには一定の期間がかかるものです。
お手元から離れる期間ではありますが、オーバーホール中は、時計を長く愛用するための重要な時間の一部とも考えられるのではないでしょうか。
オーバーホールに出される際は、全体を整えてきれいになった大切な腕時計がお手元に戻るまでお待ち下さい。
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