防水時計を着けたままシャワーを浴びるのは問題ない?

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はじめに

「防水時計だから大丈夫」と思い、シャワーや入浴時にも時計を外さずに過ごしていませんか?
確かに防水性の高い時計は存在しますが、すべての場面で安心して使えるわけではありません。

今回は防水時計の耐性や、シャワーや入浴時の使用によるリスクについて詳しく解説します。
大切な時計を長持ちさせるため、ぜひ最後までご覧ください。

時計が好きすぎて…

ある時計修理担当者の話によると、ガラスの内側が水滴だらけの時計を持ち込んだ方がいたそうです。事情を聞くと、寝るときもシャワーのときも常に時計を着けていたとのこと。
時計愛用者の中には「寝るときや入浴時にも時計を身につけていたい!」と思う方もいるかもしれません。
そのような方には、ダイバーズウォッチなど高い防水機能を持つ時計が重宝されます。
しかし、耐水性が高いからといって「時計を着けたままシャワーやお風呂に入っても大丈夫!」とは限りません。
「防水」「耐水」とはあくまで“常温の水や冷たい水”に対するものであり、実はお湯はその対象には含まれていないのです。

冷たいシャワーなら大丈夫?

ここまで読んで「冷たいシャワーなら大丈夫?」と思われるかもしれません。
しかし結論から言うと、冷たいシャワーも避けた方が良いです。
理由は「水圧」です。
機械式時計のトラブルの中には「防水時計を水洗いしたら動きがおかしくなった」というケースもあります。
蛇口からの水圧は意外に高く、防水性能を過信すると内部に水が入るリスクがあるのです。

お風呂場は時計にとって“地獄”

お風呂場のお湯が時計にとって危険な最大の理由は「蒸気」です。
蒸気には目に見えない小さな水粒子が含まれており、防水機能が高い時計でもこれを完全に防ぐことはほぼ不可能です。
蒸気が内部に入り込み、冷えて凝縮すると水滴となり内部に残ってしまいます。
また、時計の防水性を高めるためのパッキンも、お湯で劣化や変形が進みやすくなります。
さらに、石鹸やシャンプーの成分が付着することで、ゴムの弾力が失われ防水性能が低下します。
たとえ高い防水機能を持つ時計でも、蒸気や熱には弱いものです。

防水性を過信せず「時計を着けたままシャワーを浴びる」という行為は避けましょう。

内部部品の劣化が早まるリスク

万が一、時計を着けたまま入浴したことで内部に水滴が発生した場合、その水滴が残ると金属部品が錆びてしまいます。錆が進行すれば、部品交換が必要となり修理費用も増加します。
防水時計であってもお湯には弱いことを理解し、大切な時計を守るために「時計を着けたまま入浴しない」という習慣を心がけましょう。

応急処置としての乾燥方法(時計修理に行くまでの対応)

 時計の内部に水滴が見られた場合、できるだけ早くメーカーや修理店に持ち込むことが理想ですが、応急処置として乾燥剤(シリカゲルなど)を使った一時的な乾燥も有効です。
シリカゲルと一緒に時計を密封した袋に入れることで、多少の水分を取り除くことができます。
また、ぬるめのドライヤーでゆっくり温め乾燥することも応急処置になります。
ただし、これは一時的な方法であり根本的な解決にはならないため必ず専門店で点検・修理を受けましょう。

内部に水滴が生じた場合の修理方法

1. 早急にメーカーや専門店に持ち込む
時計内部に水滴が確認されたら、時計修理に出すことが最も重要です。放置すると内部の部品がサビや腐食を起こし、故障の原因となります。
特に水滴が金属部品に触れている場合、想像以上に早く錆が発生するため、できるだけ早く対応することが重要です。

2.分解洗浄(オーバーホール)と乾燥作業
時計修理では、時計を分解し内部パーツを一つずつ丁寧に洗浄・乾燥します。
電子部品や機械式などの複雑なパーツが水に触れると劣化が進行するため、分解乾燥作業は必須です。
また、水分が内部で凝縮し錆びが発生している場合には、分解後に専用の溶剤や超音波洗浄機を用いて内部の錆びを除去します。
(錆がひどい場合は完全に除去できない可能性があるため、その場合は錆びたパーツの交換が必要になることもあります)
洗浄後はパーツごとに乾燥を行い、湿気が完全に取り除かれたことを確認し再度組立てます。

時計のオーバーホールについてはコチラでもご紹介しています。

3.パッキン交換
防水性維持に欠かせないパッキン(ゴムシール)も湿気や熱で劣化している可能性があります。
時計を組み直す際にはパッキンの交換を行い、防水性能を回復させます。
特に入浴やシャワーで水滴が入った場合、パッキンが劣化していることが多いため交換は必須です。

4.防水性能テスト
修理後は防水性能のテストを行い、防水性能が回復しているかを確認します。
耐水圧が基準値を満たしているかどうかをチェックし問題がなければ修理完了です。
信頼できる修理業者であれば、このようなテストを含む作業を行っているため修理の際には確認しておきましょう。

まとめ

防水時計といっても、その防水性能には限界があります。
特に、温度変化や水圧が高まる状況、例えばシャワーやお風呂場では時計の内部にダメージが蓄積され思わぬ故障を引き起こす可能性があります。
大切な時計を長く使うためには入浴やシャワーの際には時計を外し、安全な場所に保管する習慣が大切です。
少しの気遣いで、大事な時計との良い関係を保ち続けていきましょう。


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