はじめに
近年は、時計愛好家やコレクターだけでなく、ファッションアイテムとしてのアンティーク・ヴィンテージウォッチ人気や投資人気などもあり、高級時計もリユース（中古）市場で多く売買されています。
ただ、リユース品として探す場合、時計のメンテナンス履歴や、内部の状態が不明のまま販売されている心配が全くないとはいいきれません。
人気ブランドなどは見分けの難しい精巧な模倣品（コピー品）も出回っているため、中古の時計を購入するのは不安……という人もいるかもしれませんね。
高級時計ブランドの中には、ブランドが認定した中古品「認定中古」を取り入れているところがあります。
今回は、高級腕時計の「認定中古」に注目して、導入しているブランド、気になるロレックスについてもみていきたいと思います。
認定中古時計とは？
ブランドや正規販売店などが買い取った中古の時計。正規のメンテナンスをした後に再販されるものを認定中古時計といいます。
規定の整備が行われた認定中古品には独自の保証が付けられ、ブランドの「正規の商品」として安心して購入することができます。
海外では高級時計専門の中古時計小売店によって、アンティーク・ヴィンテージ時計の売買が盛んに行われている国もあります。
日本の時計販売は、正規販売店で販売されるのは新品のみ、中古品を取り扱うのは中古時計販売者、というように市場が分かれています。
一般的に正規販売店で買取や下取りなどは行われていないため、高級時計のリユース品は中古時計専門店をはじめデパートや雑貨屋、リサイクルショップなど様々な場所で見かけることがあると思います。
残念ながら、ネットオークションやフリマサイトなどでは出品が禁止されていても、模倣品（コピー品）が出回っているという現状も……。
ブランド自体が認定中古の時計を取り扱うということは、
・正規のメンテナンスによって品質が保たれている
・ブランドが認めていることで確実に本物である（偽物がない）
という安心感につながりますよね。
また、保証書が付くことで、売却の際に正規品の証明ができるというメリットも。
中古で時計を探す場合、安心して購入できる・保証があるというのはとても重要なポイントではないでしょうか。
▶中古の時計さがしについて詳しくはこちら「アンティーク＆ヴィンテージ、時計さがしの注意ポイント」 （2023/04/12 記事リンク）
時計ブランドの認定中古いろいろ
日本国内で認定中古制度の導入やリユース市場への参入をしているブランド、修復したアンティークウォッチを新たなコレクションとして再販しているブランドなどをご紹介します。
●フランク ミュラー
出典：正規認定中古時計 | フランク ミュラー ウォッチランド ギャラリー
2009年頃からフランク ミュラーの総輸入代理店であるワールド通商によって「正規認定中古時計（PAW）」（Premium Approved Watch：プレミアム アプルーブド ウォッチ）という下取り・委託販売のサービスが行われています。
●ブライトリング
出典：Breitling
2009年頃から「トレード・イン・システム（TRADE IN SYSTEM）」として、クラブ・ブライトリングのメンバーを対象に、正規販売店（トレード・イン取扱店）での新品購入を前提とした下取りサービスを行っています（※買取や下取り査定のみは行われていません）。
下取りした時計の一部は、正規メンテナンスを施し、認定中古時計「CERTIFIED MAINTENANCE WATCH™」として販売されています。
●リシャール・ミル
出典：正規認定中古 ⋅ RICHARD MILLE
2012年頃から正規代理店によって「正規認定中古プログラム」が開始、日本では「NX ONE」が販売と買取の委託を担っています。
ブランドの時計に正規のメンテナンスをし、保証を付けたものが販売されています。
●ゼニス
出典：ZENITH ICONS G381 – ZENITH
2020年から「ゼニス アイコンズ（ZENITH ICONS）」というヴィンテージ専門のコレクションを展開しています。
ブランドが調達した希少なコレクションで、製造販売後、未使用のまま50年後に復元されたアンティークウォッチなども再販されました。日本国内ではゼニスブティックが販売しています。
●ヴァシュロン・コンスタンタン
出典：レ・コレクショナー – ヴィンテージの世界 | ヴァシュロン・コンスタンタン
懐中時計や腕時計を問わず、ブランドのヴィンテージ・ウォッチを収集。
マニュファクチュールで修復した時計を「レ・コレクショナー」として、直営ブティックでの特別なイベントや展示会で販売しています。鑑定書と2年間の保証書が付くのが特徴です。
眠ったままだった貴重な時計が正しいメンテナンスを受け、価値の分かる人の元に届くのは、すてきなことですね。
ブランドが認定した中古品は魅力的ですが、メンテナンス代が上乗せされ高額になってしまう場合や、取り扱う商品が少ないため希望の時計が見つからないという可能性もあります。
時計ブランドによって保証内容やサービスの詳細が異なるため、気になるブランド・モデルがある場合は調べてみるとよいかもしれません。
ロレックスの認定中古プログラム
出典：ロレックスを購入する – ロレックス認定中古時計を購入する | ロレックス®
日本だけでなく、世界でも新品・中古ともに人気モデルが手に入りにくいロレックス。
ロレックスは2022年12月から認定中古プログラム「（Certified Pre-Owned）CPOロレックス」の取り扱いを始めました。
まずはヨーロッパの6カ国（スイス、ドイツ、オーストリア、フランス、デンマーク、イギリス）からスタート。
販売店はスイスを拠点とする正規販売代理店・老舗の高級時計店ブヘラのブティックで、製造から3年以上が経過した腕時計が対象です。
ロレックスの正規サービスセンターでメンテナンスを受けることで、CPOロレックスとして認定されます。
新品の正規品（現行モデル）の5年保証よりは短いですが、ロレックスによる2年間の国際保証付き。
特にコピー品が多く問題になっているロレックスの時計を、安全に購入したい人にとってはありがたい制度ではないでしょうか。
2023年5月からはアメリカでも開始され、今後、取り扱いを希望する正規販売代理店に販売を拡大する予定とのことです。
2023年7月時点では、日本での開始はまだ決まっていないようで…今後、日本にも導入されるとしたら、どのような形で販売されるのか気になるところですね。
まとめ
今回は、時計の認定中古について、いくつかのブランドをご紹介しました。
認定中古を導入しているブランドの数はまだ多くはありませんが、模造品（コピー品）の排除にもなり、歴史ある時計の価値を守ることにもなるため、世界的に注目されてきています。
オーデマピゲも2023年度末に二次市場に参入する予定とのこと。スイスのほかアメリカや日本でも展開するともいわれており、こちらも動向が気になります。
認定中古のことを知っておくと、時計購入の際の選択肢が広がるかもしれませんね。
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