時計のオーバーホール

基礎知識
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時計の定期的なお手入れ

大切な腕時計を長く愛用するには、定期的なオーバーホールが欠かせません。

腕時計のオーバーホールに関する基礎知識や作業内容について解説します。

オーバーホールとは?

オーバーホールとは、時計の部品を全て分解しメンテナンスをすることです。
時計の部品を一つ一つ分解し、洗浄し、組み立て、オイルを注油します。その過程で分解した部品の点検をし、状態や動作状況、精度を確認します。


数多くの部品から成り立っている腕時計は、部品と部品の摩擦が生じる箇所の油が劣化し、古くなったオイルが固まって機械の動きを阻害することで故障の原因にもなります。
組み立ての過程で古いオイルを除去して、新しいオイルを塗布することがオーバーホールの重要な過程です。


オーバーホールは3年~4年に1度行うことをおすすめします。オーバーホールを行うことで時計のコンディションをベストな状態に保つことができます。

ちなみに、修理はオーバーホールと違って不具合や故障の原因となるパーツの修復・交換のみを行います。

オーバーホールの流れ

オーバーホールはどのような流れで進むのか、一連の工程をご説明します。

(1)部品の分解

作動性と外観をチェックした後、専用の工具で時計のバンドを外し、裏蓋を開けます。
リューズを抜き取り、ムーブメントを抜き取ります。次に針、文字盤、カレンダーの板を外し、ムーブメント本体を分解します。
ムーブメントは数百~数千もの部品で構成されており、ちょっとした息で吹き飛んでしまうほど小さな部品もあります。
繊細な作りであるため、細心の注意を払って部品を保管します。

(2)部品の洗浄

部品の分解が済んだら、専用の洗浄機を使ってパーツを洗浄します。
洗浄後は水分が残らないように乾燥させます。
汚れたオイルや摩耗した部品の粉を洗い流すことで、部品を新品に近い状態に戻します。

(3)修理・調整・メンテナンス

部品とバンドの洗浄が終わったら、ムーブメントを組み立てながら部位に応じて注油していきます。
オイルの種類や量はそれぞれのメーカーで異なるため、メーカーの定めた基準に基づき行います。
組みあがったら歩度測定器で歩度(1日・1カ月単位で出る進み遅れの事)を測定しながらコンディションを調整します。

この注油と精度の調整は、技術者の経験と技量を要する非常に難しい作業です。

(4)時計の組み上げ

歩度が整ったら針、文字盤、カレンダーを装着します。
そしてケースにムーブメントを組み込み、洗浄したバンドを装着すれば元の姿に戻ります。
防水機能のある時計は、組み上げ後に専用の機器を使用して防水機能のチェックを行います。

各機能が正常に動作するか最終チェックを終えたら、オーバーホール完了です。

クオーツ時計はオーバーホールで長く使える

クオーツ時計は止まっても電池を交換すれば動きますが、クオーツの振動を調整する電子回路自体はだいたい10年程が寿命だと言われています。
この心臓部ともいえる電子回路が故障すると、交換は難しくなってしまいます。
安価なクオーツ時計の場合、電池交換したり手入れしたりするより買い替えた方が安上がりだということになるので、クオーツ時計はオーバーホールの必要がないと思われています。

クオーツ時計は電池とモーターで動いているので動力部のオーバーホールは必要ありません。
ですが歯車で針を動かしている部分は長期間経過するとオイルが劣化することで歯車が動きにくくなり、電池の減りが早まり、精度が不安定になります。
そうならないためにも、大切にしているクオーツ時計にはオーバーホールが必要です。

高級クオーツ時計の場合は新品を買うよりオーバーホールした方が費用はかかりませんし、特別に愛着のある時計なら、オーバーホールすることで長く愛用することができます。

日々のお手入れも大切に

時計の寿命は、機械式時計は50年、クオーツ時計は10年が最大と言われています。
しかしメンテナンスの状況によってはそれより寿命が短くなってしまいます。

定期的なオーバーホールをしないと、内部のパーツを動かすためのオイルが劣化・不足し、パーツ本体がどんどん摩耗して故障してしまいます。
故障の段階であれば部品を取り換えることでまた動くようになるかもしれませんが、放っておくと、50年使えるはずの高級機械式時計がたった10年程度で寿命を迎える可能性が高くなります。

寿命を延ばすためには、数年に一度オーバーホールしプロの目で時計の状態をチェックしてもらうことに加え、セルフメンテナンスも大切です。

日々のお手入れですが、まず時計の汚れはその日のうちに落とすことで、皮脂やホコリによる傷みやサビを防ぐことができます。

次に腕時計の保管場所ですが、機械式時計もクオーツ時計も磁気から遠ざけて保管します。スマホやノートパソコンの周辺に置くのはNGです。

機械式時計はムーブメントが金属の部品で構成されているため、磁気を近づけると部品が磁気を帯びてしまいます。
クオーツ時計ではモーターの部分に磁石が使われているため、強い磁気を受けるとモーターの回転が速くなったり遅くなったり止まったりします。
その結果、時刻のズレが発生してしまうのです。

これらのことに気を使うことで、大切な時計を長く愛用することができます。


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